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コレクション展「ソンエリュミエール ‒ 物質・移動・時間」
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 5月 17日

ゲルハルト・リヒター《8枚のグレイ》2001
エナメル塗料を施したガラス、鋼鉄製部品
H320×W200×D30cm(8点組)
金沢21世紀美術館蔵
©Gerhard RICHTER 撮影:木奥惠三

★展覧会について
光には闇があり、音には無音がある。それぞれは対概念ではなく、ひとつの事がもつ性質である。フランス語で「ソン(son)」は音、「リュミエール(lumière)」は光を意味する。「ソンエリュミエール」は、1952年にフ ランスで最初に開催されたイヴェントに由来し、以後、照明と音響効果を用いて史跡や有名建築を語る豪華なスペクタクルショーのことを指すようになった。太陽が沈んだ闇夜に人工光が輝き、音楽が流れ、名所の謂れが語られる光景は煌びやかで幻想的である。同時にその効果は表面的で場の固有性は光と音の華やかさに取って代わられ画一化されてしまう。過剰な情報が氾濫し、莫大なエネルギーが消費される現在、私たちは機械計測的に刻まれる時間に束縛されて日々の生活を送っている。支配的制度としての時間から解放された時、私たちの知覚は変容し、見慣れた現象が新たなかたちをとって姿を現す。光の流れ、音の移動、月の満ち欠け、鉱物に流れる時間—有機的な時空間の中では、流れる時の方向は多様で、個々の経験は計り知れない多義性を帯びた旅となる。 本展覧会では、現代の美術家をそんな旅人と捉え、特に物質、移動、時間をキーワードに世界を見つめ直す。 粟津潔、秋山陽、ヤン・ファーブル、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、木村太陽、岸本清子、草間彌生、ゴードン・マッタ=クラーク、カールステン・ニコライ、ゲルハルト・リヒター、サイトウ・マコト、田 嶋悦子、マグナス・ヴァリン、アンディ・ウォーホル——彼らは物質の性質と力を習得することによって、自己、イメージ、行為といった非物質的な存在に、物理的なかたちを与える。あるいはまた、物質に依ることで立ち現れる造形表現は、エネルギーの運動態として私たちの眼前にあらわれ、未知なる体験をもたらすとも言える。 ここに切り拓かれた思惟の宇宙を遊泳する旅はつかのまではかなくとも、またとない瞬間として確実に鑑賞者ひとりひとりに記憶されることだろう。

★出品作家
秋山陽 / 粟津潔 / ヤン・ファーブル / ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス / 木村太陽 / 岸本清子 /草間彌生 / ゴードン・マッタ=クラーク / カールステン・ニコライ / ゲルハルト・リヒター / サイトウ・マコト /田嶋悦子 / マグナス・ヴァリン / アンディ・ウォーホル
☆マグナス・ヴァリンの作品展示期間は、8月31日までです。


全文提供:金沢21世紀美術館
会期:2012年4月28日(土)~2012年11月4日(日)
時間:10:00~18:00 (金・土曜日は20時まで) チケットの販売は閉場30分前まで
休日:月(ただし、4月30日、7月16日、8月13日、9月17日、10月8日は開場) 7月17日(火)、9月18日(火)
会場:金沢21世紀美術館
最終更新 2012年 4月 28日
 

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