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版とわたしとエトセトラ
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 2月 09日

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[作家コメント]
様々な表現方法があふれかえる現代社会のなかで美術を学んできた私達が、何故いま〈版画〉という間接技法を選び制作するのか。各アーティストが〈版画〉というものの概念を見つめ直し、それぞれの表現と共に作品をつくってきました。

*桑原 佑実子 (女子美術大学院 美術研究科 版画研究領域 修士1年)
私の作品制作は、形は違えども曼荼羅を描く行為に似ていると思います。仏教の真言や経典に記された、仏の真理・世界観を表す言葉を目に見える形に象徴的に図像化したものが曼荼羅です。私は自身が感じる世界を、題名や絵に挿入される文句として言葉に変換し、構図やものに思いを託して今度は絵画として版画を用いて表現します。絵を描くこと同様、言葉を大切にできる作家を目指しています。

*下河 智美 (女子美術大学院 美術研究科 版画研究領域 修士1年)
現代社会における人間は、巨大な科学機構の前では無個性で交換可能な社会の一部品になりつつある。このような考えの基、作品の中に「種」を描き、人間を表す記号とした。「種」という神秘性に私は同一的存在の反復行為による差異性を感じ、また版画に対する考えもこれと同様であり、そこに魅力を感じる。
過去の人々の生きた証は、所詮過去の事象でしかなく、テキストのように出来事を記した文字でしかないと考え、併置という手段をとっている。

*園田 紗希 (女子美術大学院 美術研究科 版画研究領域 修士1年)
存在とはとても曖昧で不確かである。私たちが目の前にあると認識しているモノや、経験したと思い込んでいる過去や記憶等は輪郭がなく捉えどころがない。この事実を版画やペインティング等のツールを通過させてこの世界に定着させる。

*大石 照美 (女子美術大学院 美術研究科 版画研究領域 修士1年)
私は、人がもてる一番の力は人と人との信頼関係や対抗関係といった精神的つながりだと考えています。生きていくなかでその見えないつながりを強固に築けるかが人の豊かさ、強さを生むと考えています。そういった内在する強さ、つながりを作品のなかで意識し表現しています。

*熊谷 みずき (女子美術大学院 美術研究科 版画研究領域 修士1年)
私は『室内風景』をテーマに制作しています。なぜなら「室内、特に自室や身近な風景こそがその人物を最もよく表しているものである」という自身の考えが根本に存在しているからです。つまり『室内』は私自身の精神世界であり、私そのものなのです。また色調はモノトーンを中心とし、自身の心情や作品の雰囲気によっては基本色のグレー系に赤・セピア系(過去や暖かさなど)、青系(冷たさや静寂さなど)の色味を追加しています。


会期:2012年2月13日(月)~2012年2月19日(日)
時間:12:00-20:00 (日曜は11:00-15:00)
会場:Oギャラリー

最終更新 2012年 2月 13日
 

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