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ジェラティン 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 4月 08日

© gelitin / Courtesy of Tomio Koyama Gallery "untitled" (2009)

オーストリアのアーティスト集団ジェラティンは、1993年以降、様々な問いかけを孕んだ参加型プロジェクトを行い、話題を呼んできました。「アイデアは退屈から生まれる」と語る彼らの作品は、子供の遊びの延長線上にあるようなユーモアを感じさせますが、それを裏打ちしているのは従来のアート・マーケットや現代のライフスタイルに対する鋭い視線に他なりません。それらは日用品などのごくありふれた物を用いて再構築され、一種の怪奇美をもって鑑賞者の前に提示されます。 昨年の「パリ、ルーヴル」展ではルーヴル美術館へのオマージュを兼ねて、その所蔵品やルーヴルという存在自体を問う試みがなされ、古代の柱はトイレットペーパーに、考古学的遺物はチーズとキャラメルに転換されました。ダダイスムを支えた反ヒエラルキーの精神は、社会、政治、性の構造を再解釈しようとするジェラティンのアナーキーな情熱のなかに脈々と受け継がれています。鑑賞者である我々は、究極的に自由な表現を追求することや、想像の楽しさを決して忘れないことの重要性に、改めて気づかされます。 (メンバーの一人、アリからのEメールより)

「人なつこい女性が、えも言われぬ雰囲気で富士山の前に佇んでいる。
彼女は別府温泉で和やかな休日を過ごしていたが、地元の動物園で苦渋の日々を送っていたカンガルーに恋をした。
富士山は頭髪の上にそびえ立ち、彼女は富士山を帽子のごとくかぶっている!
というのが、プラスチシン(塑像用粘土)・ペインティングの一つに描かれるストーリーです。
今回の展覧会ではプラスチシン・ペインティングや小さい彫刻の他に、我々の解釈による、龍安寺的な、ドスンと来る感じの、独自解釈な仏教インスタレーションも展示する予定です。」

一体どのような展覧会になるのか、お騒がせアーティストの日本初個展を、是非お見逃し無く。

【作家プロフィール】
ジェラティンは1978年にサマーキャンプで出会った4人のメンバー(アリ・ヤンカ、ウォルフガング・ガントナー、フローリアン・ライター、トビアス・ウルバン)から成り、現在ウィーンを拠点に活動しています。 以前は“gelatin”として、2005年以降は“gelitin”として作品を発表しています。2008年にパリ市立近代美術館で行われた初の大規模な個展「パリ、ルーヴル」展の他に、ヴェネチア・ビエンナーレ、リヴァプール・ビエンナーレなどの国際展にも多数出品しています。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー

最終更新 2009年 4月 11日
 

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