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名前の落としかた:梅田哲也・小栗沙弥子・小林耕平
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 11月 07日

小林耕平《2-9-1》2010年 映像作品 | Copyright© Kohei Kobayashi | 画像提供:信州大学人文学部「名前の落としかた」展事務局

梅田哲也、小栗沙弥子、小林耕平の三作家によるグループ展を、松本市美術館と信州大学人文学部芸術コミュニケーション講座の共同企画として開催いたします。

梅田哲也は、日用品や廃品などを組み合わせた独特な装置を用いたインスタレーション、パフォーマンスを行います。偶然性と巧みに手を結んだ装置は予想できない現象や音響を生みだします。小栗沙弥子は、日常のなかのささやかなものを拾い上げ、ありのままのかたちで作品に迎え入れていきます。その節度ある、しかし、徹底したスタンスから、独特の美しさを放つインスタレーションやドローイングが生まれます。小林耕平による、言葉や動作を編集的役割として介入させた映像作品は、見る者の焦点を分散させ、解釈の幅を拡張していきます。何気ないありふれた行為もどこか異質に映しだされ、多様な世界の見え方を提示します。

タイトルである「名前の落としかた」には、物事にまとわりつくイメージや役割を一度括弧に入れることで、その読み換え方を探っていくという意味が込められています。私たちは、「名前」を通じて、世界を認識し、物事を思考します。しかし、そのことが同時に、世界や物の見方を狭めてしまうことはないでしょうか。そうであれば、「名前を落とす」ことは、私たちの視野を開いていくきっかけとなるはずです。

本展に登場する作家たちの仕事は、名付け以前の世界への気付きにあふれています。物事の意味づけから一度抜け出し、その見方を捉え直していくこと。作家たちの作品に触れることは、その手がかりを与えてくれるでしょう。

出展作家:
梅田哲也、小栗沙弥子、小林耕平

梅田哲也(うめだてつや)
場の状況・音・響きを重視したインスタレーションをてがける。主な展覧会に、「クリテリオム」(個展、水戸芸術館、2008)、「ある風景の中に」(京都芸術センター、2009)、「反イメージ進法」(個展、国際芸術センター青森、2010)、「あいちトリエンナーレ」(2010)、「レゾナンス 共鳴」(サントリーミュージアム天保山、2010)などがある。

小栗沙弥子(おぐりさやこ)
生活のなかでふと生まれる線やかたちを救いあげる独特のインスタレーションを展開。主な展覧会に、「字界~隘路のかたち~」(長久手町、愛知、2005)、「City_net Asia」(ソウル市美術館、2007)、「あいちトリエンナーレ」(2010)などがある。

小林耕平(こばやしこうへい)
現象学的なアプローチで、もの・こととの原初の邂逅を映像化。主な展覧会に、「ベリー・ベリー・ヒューマン」(豊田市美術館、2005)、「六本木クロッシング」(森美術館、2007)、「ヴィデオを待ちながら」(東京国立近代美術館、2009)、「PLATFORM2011 浜田涼・小林耕平・鮫島大輔 - 距離をはかる」(練馬区立美術館、2011)などがある。

関連企画】(会場はすべて美術館1階市民アトリエです。)
●11月18日(金)
公開ゼミ 14:30-17:00
学生がこの展覧会に向きあう中で突き当たった問いを、出品作家・小林耕平とともに考えていきます。3日間繰り広げられる問いの出発点。

●11月19日(土)
トークセッション「言葉の開きかた」
出品作家やゲストスピーカー、そしてお客さんと共に、答えの出ない問答を展開していきたいと思います。
展覧会づくりを通して、学生のなかに浮かんだ数々の言葉を、皆さんに開いていきます。
途中参加、退出可能。眺めるだけでもいいので是非、お気軽にご参加ください。

10:00-13:00 第一部 地域社会における芸術とは、どのような存在か?
松本で現代美術展を開催するという行為を振り返りながら、地域社会と芸術のつきあい方を考えたいと思います。地域社会と芸術活動の関係に興味のある方、是非ご一緒にお話しましょう。

(昼休憩)

14:00-17:00 第二部 「名前の落としかた」とは何か
「名前の落としかた」展が呈示するものを、私たちのまわりの問題に引きつけて、みなさんと話し合いたいと思います。普通名詞、人名、商品名、俗称…私たちのまわりにあふれる様々な名前を振り返りながら「名付ける」という行為の意味を考えてみませんか。

梅田哲也パフォーマンス 17:00-
日用品でつくられた独特の装置を用いて、即興的に空間をつくりあげるパフォーマンス。その場の状況に呼応しつつ、物の動き、光、音が複雑に絡んだ現象が立ち上がります。普段は意識の外にある音をとらえる不思議な体験。

●11月20日(日)
小栗沙弥子ワークショップ 10:00-12:00
セロハンテープの芯、プリンカップの口、自転車のループキーなど、身の回りに落ちている"枠"を使った絵画教室を開講します。
出品作家・小栗沙弥子と一緒に、普段目にとまらないようなものから絵画が生まれる瞬間に出会ってみませんか?
*定員30名(要予約。先着順) 画材等はこちらで用意します。
ご予約方法:お名前、参加人数を明記のうえ、下記アドレスまで、メールにてお申し込みください。
goldwellseminar(a)gmail.com  ※(a)を@に代えてご送信ください。

小林耕平パフォーマンス 13:00-17:00
見せるとは?創造するとは?表現するとは?
小林耕平が与える難題に、学生パフォーマーが立ち向かいます。
お客さんを前に追い込まれていく彼らは、どう振舞うのか?
パフォーマンス成立の境界を探るギリギリのパフォーマンス。

【展覧会公式ブログ】
http://namaenootoshikata.blog.fc2.com/
【松本市美術館ホームページ】
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/artmuse/index.html

※全文提供: 信州大学人文学部「名前の落としかた」展事務局


会期: 2011年11月17日(木)-2011年11月23日(水・祝)
開場時間: 9:00-17:00
会場: 松本市美術館市民ギャラリーA,B
入場無料

最終更新 2011年 11月 17日
 

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