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藤本由紀夫:philosophical toys
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 10月 26日

Copyright© Yukio Fujimoto | 画像提供:GALLERY CAPTION

藤本由紀夫は、大阪芸術大学音楽科を卒業後、70年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンスやインスタレーションを展開し、1986年頃からは、オルゴールと身のまわりの日常品とを組み合わせた「サウンド・オブジェ」と呼ばれる、音をかたちで表現した作品を発表し注目を集めました。そして近年では、2007年に国立国際美術館(大阪)、西宮市大谷記念美術館(兵庫)、和歌山県立近代美術館の3館において大規模な個展が同時開催された他、国際展「ヴェニス・ビエンナーレ」に2度('01、'07)の参加を遂げるなど、国内外の主要な展覧会に数多く参加し、名実ともに日本を代表するアーティストとして評価されています。

藤本は「音」という「目に見えない」素材を用いることで、普段あまり意識されることのない聴覚や視覚をはじめとする知覚の在りようそのものに目を向けながら、そうして開かれた五感を通じて、私たちが日ごろ眺めている世界を、あらためて問い直すきっかけとなるような作品を制作しています。

今回のタイトルである「philosohical toys=哲学的玩具」は、それら一連の作品の総称とも言えます。「私の作品はどちらかと言うと装置であると思う」と語るように「toy=玩具」とは遊ぶための装置、道具であり、人の手によって活用されてこそ、はじめて用を成しその面白さが分かるものです。そして、その遊び方は使い手の自由に委ねられ、時に思いもよらぬ発見、本来とは違った楽しみ方が生み出されることは、誰もが経験し知るところでしょう。

藤本の作品は、例えばオルゴールのねじを回す、床に敷き詰められたタイルの上を歩く、椅子に座ってパイプを両耳に当てるなど、観客が作品に関わりを持ち、体験することで成立します。それは、観客が作品の一端を担っている、つまり、観客が作品を作っていると言っても過言ではありません。受け手の数だけ存在し得る作品。それは、それまでひとつだと思っていた世界が、各々の感覚を通じて幾多にも広がっていることを示唆しています。

そして今回、藤本は私たちが日ごろ接している世界を、ほんの少し、そして時にがらりと変換してくれるささやかな装置=哲学的玩具として、従来の作品ではなく、近ごろ制作に力を入れているグッズの数々を展覧会の場で皆さんにご紹介することにいたしました。

本来、作品を展示するための場であるギャラリーにグッズを並べたとき、それらはどう見えるのでしょうか。この世界について思索するための玩具は、そんな「作品」と「商品」との境界を問いながら、私たちがそれぞれに、そしてどのように受け取るかによって、その用途も、またそこから垣間見る世界も、かたちを変えていくことでしょう。

尚、12月3日にはアーティスト・トークも予定しております。会期中には是非ご高覧賜りますよう、ご案内申し上げます。

藤本由紀夫 artist talk:
12月3日(土)|18:00-19:30|定員30名|予約制 (10月29日(土)より受け付けます)
TEL 058-265-2336 (日月祝日をのぞく12:00から18:30まで)
E-mail このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください   (お名前、人数、ご連絡先をご明記ください)

※全文提供: GALLERY CAPTION


会期: 2011年10月29日(土)-2011年12月10日(土)
会場: GALLERY CAPTION
休廊日: 日月曜日、祝日、およびアートフェア『超京都』出展のため11/8から11/12は休廊

最終更新 2011年 10月 29日
 

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