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津田久美恵:At This Moment
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 3月 24日

《ひと休みしている間に》2008年 © Kumie Tsuda copy right(c) Kumie TSUDA / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

津田久美恵は、セラミック(陶磁器)を素材に、小さな要素の組み合わせでインスタレーションを構成していきます。2007 年にトーキョーワンダーサイト本郷で行われた展覧会『Meteora』では、パラフィンで作られた台座の上に置かれた、溶け固まった溶岩のようなフォルムのシンボリックな彫刻作品を中心に、細かな断片をつなぎあわせるかのようなインスタレーションが行われました。鉱石のようにカットされた多面体、キノコの頭をした二本足の生き物など、同じセラミックという素材も、様々な表情に変化していきます。壁に掛けられたタイル状の作品には、奇妙な幾何学的図形や、水面に浮かぶ神秘的な山々が描かれていました。遥か昔ギリシャのメテオラに建てられた、断崖にそびえる孤高の修道院は、目に見えないものを心から信じる強い気持ちの表れとして、作家にインスピレーションを与えました。 津田のモチーフは具体的な形を持ちながらも、一つの物語として立ち現れるのではなく、むしろ私たちと世界との見えざる関係性、その不確かな手触りを、不確かさのままに提示しているかのようです。自分の見た夢などを思い浮かべながら作品を作ることもあるという津田の作品からは、私たちの夢の数々から再構築されるかのような、不思議な世界が浮かび上がります。 本展では、新作彫刻を含む約10点を展示いたします。どうぞこの機会にご高覧ください。

【作家プロフィール】
津田久美恵は1980年、神奈川県生まれ。2003年東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業。05年、同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了、06年同専攻研究生を終了しました。2007年のグループ展「INDEX #3 −経験の効用−」(市原研太郎氏キュレイション)では、若手アーティスト10人のうちの一人として作品を出展し、京都造形芸術大学のアートスペースである art project room ARTZONE、京都精華大学のアートスペースshin-bi、トーキョーワンダーサイト本郷の3会場で展示が行われました。2008年、栃木県那須塩原の板室温泉 大黒屋にて個展を開催。小山登美夫ギャラリーでは2008年に続き2度目の個展となります。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー

最終更新 2009年 3月 28日
 

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