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トム・フリードマン:Not Something Else
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 3月 24日

"Green Demon", 2008, Expanding insulation foam and mixed media, 231.1 x 109.2 x 91.4 cm © Tom Friedman copy right(c) Tom Friedman / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

バブルガム、トイレットペーパー、つまようじ、ストロー…これら日常のありふれたモノを、フリードマンは予想もできなかったような、美しい作品に変身させます。このような彼の制作の原点は学生時代に経験した転機に遡ります。アートは一定の形式によって定義されるべきではないと考え、アトリエを空っぽにし、あらゆる面を白一色に塗り、蛍光灯の光で照らす。感覚を奪い去ってしまうようなこの空間に再びモノをひとつずつ持ち込むことで、彼の新しい探求が始まりました。 2000年の『Untitiled』ではピンク色の消しゴムのカスを床に円状に配置。縁の部分がまるで銀河のようにみえるこの作品でフリードマンは、通常ならアートの素材にはならないモノのフィジカルな性質に対し、アートとならしめる力を与えています。また1992から97年の『1,000 Hours of Staring』では、自身が1000時間見つめたという一枚の白い紙を作品とすることで、アートという行為自体に引かれてきた境界線に疑問を投げかけています。

【この展覧会について】
本展では、立体作品とアニメーション・ビデオ、ドローイングなど、全7点の新作を展示いたします。

「何年もまえに禅宗に出会った。犬の仏性に関する禅問答のなかで、禅僧が『犬ではない。ただの犬!犬、犬、犬だ!』と生徒を叱ったという話を聞いて、突然ひらめいたことを思い出す。僕にとっては直接の、直の、そのままの体験がアートであり、人生なのだ。主体と対象はその体験の中で解体や融合を行い、見るものを引き込んでいく。直の体験、アートそのもの、そしてNot Something Else」(トム・フリードマンによるステイトメントより。)

徹底的にモノ(objects)それ自体にこだわり続けて来た作家の新たな挑戦を、この機会に是非ご高覧下さい。

【作家プロフィール】
トム・フリードマンは1965年アメリカ、ミズーリ州セントルイス生まれ。ワシントン大学(セントルイス)にてグラフィック、イラストレーションを学び、1988年美術学士取得。イリノイ大学(シカゴ)にて彫刻を学び、1990 年美術学修士取得。現在はマサチューセッツ州を拠点に制作活動を行っています。Guggenheim Museumをはじめ世界各国の主要美術館にて展覧会を開催。近年ではロンドンのSouth London Gallery、ミラノのFondazione Prada、シカゴのMuseum of Contemporary Art、ロンドン/ビバリーヒルズのGagosian Gallery等で個展を開催しています。 小山登美夫ギャラリーでは98年、01年、04年以来5年ぶり、4度目の個展となります。
※全文提供: 小山登美夫ギャラリー
最終更新 2009年 3月 28日
 

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