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高木智広 展:ODD EYE, SLEEPING
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 3月 20日

《孵(カエ)ル》2008-9年 Oil on canvas copyright(c) Tomohiro TAKAGI / Courtesy of unseal comtemporary|

高木智広の作品で一番の特徴は何かと問われれば、私たちの意表をつくアイデアの独創性とまず答えることになるでしょう。ここしばらく高木作品のテーマになっている「動物のかぶりものを身にまとう人間たち」そのものが奇異な発想ですが、そのさまざまな振る舞いのシーンひとつひとつがまた私たちを不意打ちするもので、私たちはしばし作品の前に立ち尽くしてしまいます。高木作品のもう一つの特徴は、ともすればアイデア倒れになってしまうところを綿密な画面構成と細部にこだわる描写力で想像世界に高い完成度を与えていることです。これを実現できる作家はそう多くはいません。では、高木作品の魅力は奇抜なアイデアと描写力だけかと言えばそうではなく、たとえば最近のテーマで言えば、すでに滅んでしまった動物たち(言うまでもなくそ主犯は人間です)を演じる人間たちという終末論な未来世界を描くことで、今現在滅びつつある動物たちへの哀惜の感情を背景に、あらためて人間と動物の境界線がどこにあるのかを私たちに問いかけている作家がいるのです。終末世界から私たちの世界を見つめるほろ苦い、ユーモラスな視点はどんなテーマを取り上げていても高木作品を貫いています。というわけで言葉にすれば「圧倒的な奇想のイメージと漂うリリシズム」と高木作品を形容できるでしょうが、まずはご覧いただいて直接感じていただくしかありません。すでに内外に熱心なファンを持つ作家ですが、私たちでは初個展となります。ぜひご高覧ください。

※全文提供: unseal comtemporary

最終更新 2009年 4月 03日
 

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