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来世のための供物展 古代エジプト美術から読み解く永遠の生への思い
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 30日

《内務の長サケルティのステラ》|紀元前1970年‐紀元前1900年頃 | ルーヴル美術館、古代エジプト美術部門 | Copyright © 2011 Musée du Louvre / Christian Décamps

ルーヴル美術館とDNP大日本印刷がすすめる美術鑑賞のための共同プロジェクト、「ルーヴル - DNP ミュージアムラボ」。この度、第8回展を開催する運びとなりましたのでご案内申し上げます。

第8回展では、古代エジプト美術に通底する独特の世界観や美意識を読み解く鍵となる作品が登場いたします。ルーヴル美術館でも人気の古代エジプト美術部門からサケルティのステラ (石碑、右画像)ほか7点が来日し、永遠の生を願う儀式や、その思いを映す図式表現の約束事など、古代エジプト美術に秘められた「生への思い」を多角的な視点から捉える体験をお楽しみいただきます。

また本展で開発された鑑賞システムの一部はルーヴル美術館にも設置され、実際の美術館の空間の中で、世界中からの来館者に、デジタル技術の可能性を活かした美術鑑賞を提供していくことが決定しております。より多くの鑑賞者に作品の「見かたが変わる、見えかたが変わる」体験が、一層豊かに拓かれていくことに貢献できればと願っています。

第8回展の展示概要
永遠に生き続けたい――そう願った古代エジプト人が考えた来世は、現世の暮らしとよく似たものでした。そのため、人は来世でも食事をし、のどの渇きを癒やす必要があります。それは、現世でも来世でも最も重要な事柄でした。来世で食事をするためには、家族や神官に食べ物や飲み物を供物として墓前に奉納してもらわなければなりません。しかし、古代エジプト人たちはより確実な代替案を考えました。食べ物や飲み物を絵に描いたり、ヒエログリフ文字で表現したり、その名を唱えることでも、本物を供えたのと同じ効果があるとしたのです。本物はいずれ朽ちてしまいますが、絵や彫刻ならその効果は永遠に続くと考えたのです。古代エジプト美術の独特な人体描写や、図像にヒエログリフを組み合わせた画面構成といった表現上の特徴は、この呪術的な効果を永遠に保つことを目的としていました。人物や物の姿をいつまでも残すため、その形を最もわかりやすく表せる方法で描こうとしたのです。このような表現上の約束事は約3000年に及ぶファラオの治世の間、守られ続けました。

ルーヴル - DNPミュージアムラボ第8回展「来世のための供物展 古代エジプト美術から読み解く永遠の生への思い」で展示される作品は、そうした葬礼に関わる古代エジプト人の考え方を現代に伝えるものです。会場ではエジプト王家の高官だったサケルティという人物のためのステラ(石碑)を中心に、謎に包まれたエジプト人の世界観を解読していきます。独自に開発した映像装置を使って、死後の世界を司るオシリス神の聖地、アビュドスの様子を俯瞰したり、供物を奉納する儀式に参加することができます。失われてしまった文明にさまざまな形で触れることで、古代エジプト美術に込められた呪術の力が21世紀の今も失われていないのかもしれない、ということを感じていただけるでしょう。

全文提供:ルーヴル - DNP ミュージアムラボ


会期: 2011年10月8日(土) 〜 2012年3月4日(日)
開館時間: 金18:00 〜 21:00 / 土、日 10:00 〜 18:00 ※月~木、保守点検日、年末年始は休館。
会場: ルーヴル - DNP ミュージアムラボ
東京都品川区西五反田3-5-20 DNP五反田ビル1F
観覧無料、予約制
http://www.museumlab.jp
または、ルーヴル ‐ DNP ミュージアムラボ カスタマーセンター 03-5435-0880
<電話受付時間> 10月7日(金)まで平日11:00~17:00(土・日・祝日は休み)
10月8日(土)〜2012年3月4日(日)月~木11:00~17:00/金11:00~21:00/土・日9:00~18:00(月~金の祝日、年末年始は休み)

最終更新 2011年 10月 08日
 

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