| EN |

多和田有希:Missing Folklore
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 3月 17日

(c) Yuki Tawada 2009 Courtesy of TARO NASU Electric Syndrome 2009 inkjet print scratched by needle, eraser and sand paper copy right(c) Yuki TAWADA / Courtesy of TARO NASU

<写真であり絵画であり彫刻であり、そのどれでもない>

多和田有希は写真と絵画そして彫刻の境界線上に位置する作家である。インクジェット出力した写真に直接、紙やすりや消しゴム、針をあてて、写真の表面に痕跡を残していく。写真に写しきれないもの-被写体の放つオーラや撮影時の自分の感情など-を、写真を「削ること」によって表現するのである。自分が「彫り出したいもの」を探していくその過程で、多和田の写真は、厳密には写真といえないもの、写真と絵画と彫刻のすべての要素を持ちながらそのどれにも属さない新しい媒体へと変貌していく。デビュー作ともいえる、節分の神事を撮影した作品では、豆まきの豆をつかんで福を招こうと必死に手を伸ばす群衆の欲望を、わきでる白い煙のように表現した。近年取り組んでいる都市の風景のシリーズでは、スラム街の鬱屈したエネルギーを、大地を切り裂く白い閃光として「描き」、昨年パリで開催されたParisPhoto2008のBMW賞の最終選考に選ばれている。TARO NASUでの初めての個展となる今回は、100x150cmサイズの作品を含む約20点を展示し、人物と都市という二つのテーマを連関させながら、人間の欲望や孤独を表現する予定である。

 

※全文提供: TARO NASU

最終更新 2009年 4月 10日
 

関連情報


| EN |