ベルリンを拠点に活動するグルジア人アーティスト、テア・ジョルジャッツェの新作展。ジョルジャッツェはギャラリー内で滞在制作し、ドローイングと立体作品のインスタレーションを発表いたします。本展は、ジョルジャッツェの作品を日本で初めて見ることのできる機会となります。

1971 年、トビリシ（グルジア）生まれのジョルジャッツェは、空間において形やオブジェと戯れつつ、その直観的な過程から展開される彫刻的なインスタレーションで知られています。ジョルジャッツェは、石膏やボール紙から、ガラス、木、金属、コンクリート、リノリウムやフォームラバーに至るまでの幅広い物質を用いて、機能性、装飾性、抽象性の間を行き来する、不定形な構造体を制作しています。同時に、椅子、机、ベッド、棚といった家具の断片にも見える構造体は、カーペット、写真、あるいはランプといったファウンド・オブジェクトと組み合わせられることにより、より強調された印象を与えます。これらの作品はサイト・スペシフィックなインスタレーションで一緒に展示され、そうした物のまわりで私たちがどのように振る舞っているか、またそうした物が私たちをどのように振る舞わせているか、鑑賞者に気づきや反省を促すきっかけをつくり、身体とハビトゥス（習慣的行動様式）の間に期待されるべき関係がもはや成り立たないような、不気味で希薄な家庭の空間を呼び起こすことでしょう。

画家としての教育を受けたジョルジャッツェは「形式、テクスチュア、奥行き、色彩のコンポジションとして自らのインスタレーションに取り組んでいる」と語っています。彼女の作品は何かを表象しているわけでも、美術やデザインの歴史的原型への言及が意図されているわけでもありません。彼女は青年期に、1920・30 年代、彼女の故郷、トビリシで発展した構成主義建築に魅了され、その後、映画・文学・建築へ深い関心を持ち、作品を展開しています。ただし、そうして参照したものは、ときおり作品に表面化し、瞬間的に方向感覚を与え、すぐに一般的な知識や象徴的表現という短絡的な安心感を超えたものへと変化します。このようにして彼女の作品は、物質世界の生成過程、そして芸術的実験の創造過程において絶えず起こる、記憶と忘却の間に巻き起こる緊張関係を喚起します。

ジョルジャッツェはアートアカデミー・トビリシ、ヘリット・リートフェルト・アカデミー（アムステルダム）、そしてデュッセルドルフ美術大学ではディーター・クリーグとローズマリー・トロッケルのもとで学んでいます。また1999 年から2003 年まで、デュッセルドルフを拠点に領域横断的に活動するグループ、hobbypopMUSEUM の一員として活動しています。近年では、多くの美術館で個展を開催するとともに、ベルリン・ビエンナーレやリヨン・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレといった国際展にも参加しています。

Thea Djordjadze (テア・ジョルジャッツェ)
1971 年 トビリシ・グルジア生まれ、ベルリン在住。

学歴
2000 年 Meisterschülerin (マイスターシューラー), Professor Rosemarie Trockel
1998-01 年 Staatliche Kunstakademie Dusseldorf (デュッセルドルフ美術大学), Professor Rosemarie Trockel に師事
1995-97 年 Staatliche Kunstakademie Dusseldorf (デュッセルドルフ美術大学), Professor Dieter Krieg に師事
1995 年 Academia of Arts, Tbilisi (トビリシ) 美術学士取得
1994-01 年 Staatliche Kunstakademie Dusseldorf (デュッセルドルフ)
1993-94 年 Gerrit Rietveld Akademie, Amsterdam (アムステルダム)
1988-93 年 Academia of Arts, Tbilisi (トビリシ)

主な個展
2011 年 Lost Promise in a Room, The Common Guild (グラスゴー)
Casualties, Galerie Meyer Kainer (ウィーン)
Thea Djordjadze, Contemporary Art Museum St. Louis (セントルイス)
Quiet Speech in Wide Circulation, Kiosk (ヘント)
2010 年 Thea Djordjadze: Boat, Now, Castillo/Corrales (パリ)
Die 7 Lärmlampen, Dommuseum Zu Salzburg (ザルツブルク)
Capital Letter, Foksal Gallery Foundation (ワルシャワ)
2009 年 Thea Djordjadze, WestLondonProjects (ロンドン)
Occasional Exercise, Galerie Micky Schubert (ベルリン)
Explain Away,Sprüth Magers Berlin (ベルリン)
Endless Enclosure, Kunsthalle Basel (バーゼル)
2008 年 Thea Djordjadze, Sprüth Magers Cologne (ケルン)
Thea Djordjadze, Kunstverein Nürenberg (ニュルンベルク)

主なグループ展
2011 年 The Art of Narration Changes With Time, Sprüth Magers Berlin (ベルリン)
Time Again, Sculpture Center (ニューヨーク)
Essential Art, Collezione Maramotti (レッジョ・エミリア)
The Magic of Clay- Ceramics in Contemporary Art, GT Holtegaard (ホルテ)
Winter in America, Tanja Pol Galerie (ミュンヘン)
Frauenzimmer, Museum Morsbroich (レヴァークーゼン)
2010 年 How Soon Now, Rubell Family Collection (マイアミ)
Thea Djordjadze/Shannon Ebner, Kaufmann Repetto (ミラノ)
Mental Archeology, Centre D’art Contemporain (イヴリー＝シュル＝セーヌ)
The New Décor, Hayward Gallery (ロンドン)
2009 年 Your Gold Teeth II, Marianne Boesky Gallery (ニューヨーク)
Remote Memories, Kai 10 Raun Fur Künst (デュッセルドルフ)
In May (After October), Gallery TPW (トロント)
2008 年 Art TLV 08, Tel Aviv Museum of Art (7)
BB5 5th Berlin Biennial for Contemporary Art, Neue National Galerie (ベルリン)
Martian Museum of Terrestrial Art, Barbican (ロンドン)

※全文提供：　ラットホールギャラリー

会期：　2011年10月28日（金）～2012年1月22日（日）
会場：　ラットホールギャラリー