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Blixa Bargeld:Einschüsse / 銃弾の痕跡
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 26日

Copyright© Blixa Bargeld | 画像提供:Motus Fort

本作品「Einschüsse」 そして銃弾の跡に刻印されるものは、時の流れや風化、新たな建造物に浸食されながらも消えることのない人間の過ちである。人間の不和を体現した痕跡だとも言えよう。作品において灰色のグラデーションは排除され、イメージは様々なものへと姿を変える。それは、人類の宇宙への到達を想起させるクレーターの凹凸だったり、私たちが共謀して描く混沌とした星図だったり、または暴力の歴史の記録、侵略、地図だったりする。ブリクサ・バーゲルトの最新作は、東京においては辛辣に映ることだろう。第二次世界大戦の記憶を打ち消そうとしても、不都合な過去を思い起こさせる残骸はまぎれ込み、見る者に歴史の影響について考えさせる。私たち日本人が、安穏として当然のように信じるものについて疑問を投げかけるのだ。現在も継続中のシリーズ「serialbathroomdummyrun」と対置することで、ミクロ/マクロなヴィジョン、そして外部の生活(または生命)が私たち自身といかに似ているのか、またその逆も然りだということが見て取れるだろう。そこに現れるパターンに、私たちは自分たちが暮らすこの世界全体を想起させる細部を見ることになる。

これらの銃弾の跡は、ベルリンのミッテ地区にあるギャラリー街で集められたものである。この地区は東京の下町に似ていなくもない。なぜなら東京にも(明らかな爆弾や銃弾の跡はないにしても)有刺鉄線は存在し、好ましい過去だけをほのめかす場所ではないからだ。東京もベルリンも、過去の痕跡を根拠に欠けた抽象的な歴史へと逆流させる場所である。

全文提供: Motus Fort


会期: 2011年9月29日(木)〜2011年11月5日(土)
会場: Motus Fort
アーティスト・レセプション: 2011年9月29日(木)18:00~21:00

最終更新 2011年 9月 29日
 

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