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荒木珠奈:見えない
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 26日

画像提供:Gallery Jin Projects | Copyright© Tamana Araki

荒木珠奈は、1997年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画コースを卒業後、ポーラ美術振興財団在外研修員としてメキシコにて研修。現在、埼玉県入間市に在住。

2008年「MAMプロジェクト008」森美術館ギャラリー2(東京)での個展開催や、2000年「岡本太郎記念現代美術大賞入選作品展」川崎市岡本太郎美術館(川崎)、2005年「スイート・メモリーズ」北海道立近代美術館(札幌)、2009年「City_net Asia 2009」Seoul Museum of Art(ソウル)等のグループ展に参加するなど、その多彩な表現により、国内外で高い評価を受けてきました。

Gallery Jinでの4回目の個展となる本展では、新作インスタレーションをメインに、銅版画や立体作品を展示予定です。

作家のコメント
これまで私は、頭上を見上げるような作品をいくつか作ってきました。
天井に丸く広がる世界地図であったり、
星空の様な夜の家々であったり、
大きな輪の中に点在する椅子(人々)であったり。
それは、頭上には大きな調和を意味する輪の様なものがある、というある種の良いイメージを持っていたからです。

そして、3.11の震災後の原子力発電所の事故。関東の生活の中では、目に見える変化は少ないようでいで、この日から世界が変わってしまった様に感じています。
今、私達の頭上から降ってくるものは……
今回は目に見えない不安感、嫌悪感をインスタレーション、銅版画、立体作品で視覚化しようと試みます。

東京都現代美術館にて開催中の常設展示「サイレント・ナレーター それぞれのものがたり」 に、荒木珠奈のインスタレーション作品「Caos poetico-詩的な混沌-」が展示されています。

※全文提供: Gallery Jin Projects


会期: 2011年10月1日(土)〜2011年10月29日(土)
会場: Gallery Jin Projects
オープニングレセプション: 2011年10月1日(土)17:00~19:00

最終更新 2011年 10月 01日
 

編集部ノート    執筆:田中みずき


画像提供:Gallery Jin Projects
Copyright© Tamana Araki

   暗闇が怖い理由を知っている人がどれだけいるだろう。毎晩眠るために目を瞑って視界が暗くなっても怖くはない。暗闇の怖さは、目をこらしても観えないという現実にある。今回の荒木の本展覧会では、真摯に観えないものの怖さが追求されている。
    両手を広げたとしても何にも触れない程の広さの展示空間で、天井から黒い毛玉が迫ってくる作品が圧巻だろう。観えないけれど忍び寄ってくるものの気配が展示空間に充満している。別室の明るい部屋の版画作品は、小さなサイズの作品でありながら、観ていると心象や生活の中で生まれる感情が投影され、印象深い。観えないものがしっかりと捉えられ、心にチクチクとささってくる。  観えないものを観るという試みに乗りたくなる展覧会である。


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