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小林且典
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 2月 27日

《scene公園#s-01-2008》103 x 131cm copy right(c) Katsunori Kobayashi / Courtesy of nca | nichido contemporary art

本展覧会では、自身の彫刻を被写体としたカラー・モノクロ両タイプの写真18点と、彫刻インスタレーションで構成されます。

小林且典の詩情
詩は形態をもって存在することは可能なのだろうか。まして色彩をまとうことは?
小林且典は、その問いに答えようとする。
緻密なブロンズのミニアチュア。ミニアチュアのブランコやジャングル。その表面を覆う漆喰の質感と、テーブルの上に広がる雪原のような白い広がり。それは塵埃の降り積もる、忘れられた過去なのだろうか。あるいは夢見られた未来なのか。広場のような台地は、皿とスプーンと水差しを載せて本来のテーブルに立ち戻る。カメラの焦点は主役のオブジェだけを明瞭に浮かび上がらせ、周囲は不均等な靄のなかに霞み、生み出されたイメージを詩的現実に転嫁する。時にはポップな青や緑、そして赤が控えめに浮かび上がり、周囲に彩りを与えながら、生命の鼓動をもたらすことになる。
現実と非現実、存在と想像、思い出と時間、崩壊と構築。それらの相対する言葉がぶつかり合い、そこに詩が生成する。小林の描き出したこの独自の空間は、美と名付けるのにふさわしい、かすかでふるえるような詩情をたたえて、写真というメディアの上に結晶する。
(森美術館館長 / 南條史生 )

※全文提供: 日動コンテンポラリーアート

最終更新 2009年 2月 27日
 

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