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第21回瑛九展 46の光のかけら/フォトデッサン型紙
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 06日

Copyright© Ei-Q | 画像提供:ときの忘れもの

今年は瑛九の生誕100年にあたり、故郷・宮崎をはじめ埼玉、浦和などの美術館で大規模な瑛九回顧展が開催されます。それにあわせて、ときの忘れものでは、所蔵する46点のフォトデッサン型紙を初めて公開いたします。

瑛九の造語である「フォトデッサン」は、先行するマン・レイやモホリ=ナギが印画紙上に物を置き、直接光をあてて制作した「フォトグラム(レイヨグラム)」と同じ技法ですが、これに自らの進むべき道を見出した若き日の瑛九の自負をうかがわせる言葉であると言えます。マン・レイたち先行者と異なり、瑛九は自ら切り抜いた「型紙」を使って膨大な点数を制作しました。その作品群を見れば、それらが絵画性の強い独創的なものであったことは一目瞭然です。瑛九が「型紙」に使ったのは、普通の「紙」や「セロファン」のほかに、一度は完成させたフォトデッサン(印画紙)を次の作品を作るために「型紙」として切り抜いてしまったものも多数存在します。

従来は、「フォトデッサン」の失敗作を「型紙」に転用したと言われてきましたが、ときの忘れものが入手した46点からなる「フォトデッサン型紙コレクション」の中には、きちんと瑛九自筆のサインや年記が記入されているものも少なくありません。

ときの忘れものでは、
1)従来はフォトデッサン制作のための「素材」または「資料」として考えられてきた「型紙」を瑛九の造型作品として見直したい。
2)「型紙」の実物を展示、考察することによって、瑛九が自負をこめて命名した「フォトデッサン」の独自性を明らかにしたい。
3)瑛九のオリジナル作品(サインや年記もされているものあり)を、この機会に廉価でコレクションしていただきたい。 今回の展示では、1万円から15万円で全作品を頒布します。

既に出品リストをホームページに公開しましたので、ご覧ください。この機会にぜひ瑛九をコレクションしてください。

ブログでは、近代美術史研究家(前・武蔵野市立吉祥寺美術館学芸員)の浅野智子さんと、故郷宮崎で精力的に瑛九キャンペーンを展開している宮崎日日新聞文化部次長・中川美香さんに、それぞれ瑛九について連載エッセイをご執筆いただきましたので、お読みください。

瑛九 Ei-Q
1911年宮崎生まれ。本名・杉田秀夫。15歳で『アトリヱ』『みづゑ』など美術雑誌に評論を執筆。36年フォトデッサン作品集『眠りの理由』を刊行。37年自由美術家協会創立に参加。既成の画壇や公募団体を批判し、51年デモクラート美術家協会を創立。靉嘔、池田満寿夫、磯辺行久、河原温、細江英公ら若い作家たちに大きな影響を与えた。油彩、フォトデッサン、版画などに挑み、独自の世界を生み出す。60年48歳で永逝。

※全文提供: ときの忘れもの


会期: 2011年9月9日(金)-2011年9月17日(土)
会場: ときの忘れもの

最終更新 2011年 9月 09日
 

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