大山崎山荘のおもてなし -利休、モネの見立てた大茶会- |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 8月 29日 |
この企画は、「第26回国民文化祭・京都2011」に協賛して開催されるもので、美術館の地元、大山崎町では「大茶会」を国民文化祭のメインテーマにしていることから、茶会での「おもてなし」を自由な展示で表現し、利休の茶の心である“一期一会”の空間を再現し、新たな楽しみ方を提案します。 大山崎山荘は、かつて、様々な人々をもてなした場でありました。また、大山崎町には、千利休が山崎の合戦の折に建てたとされる茶室「待庵(たいあん)」(国宝)が移築、保存されています。こうした茶とおもてなしの歴史や文化に彩られた大山崎の地に相応しい企画展として、その歴史の一端を紹介しながら、大山崎山荘美術館ならではのおもてなしの席を設えます。 本展では、茶器はもちろん、茶会と無関係に見える近代絵画、彫刻などの様々な作品をも組み合わせて、「大山崎山荘の茶会」と見立て、「大山崎山荘のおもてなし」を演出します。利休によれば、茶会とは一期一会の場であり、一生に一度の出会いの場です。大山崎山荘での一期一会をお楽しみいただきます。 茶のおもてなし展示には、二人の芸術家に焦点をあて、それぞれにちなんだ斬新な見立てをご紹介します。ひとりはもちろん千利休です。大山崎で茶会を開き、『待庵』を残し、わび茶を完成させた利休は、まさに本山荘にもっともふさわしい人物でしょう。もうひとりは、当館所蔵の名画『睡蓮』を描いた印象派の巨匠、クロード・モネ。パリ郊外ジヴェルニーの自宅に池のある日本風庭園をつくり、睡蓮を育て、これを描き続け、睡蓮の絵画に囲まれた部屋で、人々が安らぎを感じることを期待しました。 利休にちなんだ見立てでは、茶器とともに、アルベルト・ジャコメッティの彫刻を組み合わせて、新旧の名品の間の緊張感を引き出します。一方、モネにちなんだ見立てでは、絵画『睡蓮』と河井寬次郎『海鼠釉片口』(なまこぐすりかたくち)など日本の陶器を組み合わせて画家の愛する日本の自然を表現し、安息の空間をつくり出します。 大山崎山荘のおもてなしは、山荘の歴史とも関係します。山荘をつくった加賀正太郎は、700人もの招待客による盛大な花見会を催しました。これは、花見を登山に見立てた宴でした。敷地を山に見立て、一合目から二合目、三合目と順に登っていくコースがつくられ、頂上の「憩いの桜」に至るものです。随所に茶席、料理屋、洋酒屋、果物店が出されました。登山をも趣味とした数寄者・加賀ならではの趣向を凝らした会でした。本展では、山荘のかつてのおもてなしの一端も当時の案内図などと共に紹介します。 また、参加型企画として、当館コレクションの中から、お客様がご自身で作品を選び、その用途を提案いただく「わたしならこう使う」ワークショップを実施します。 【関連イベント】 「大山崎秋茶会」(中国茶会) 「大山崎大茶会」(第26回国民文化祭・京都2011) 「学芸員によるギャラリートーク」 全文提供: アサヒビール大山崎山荘美術館 会期: 2011年9月30日(金)-2012年1月9日(月・祝) |
最終更新 2011年 9月 30日 |