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愉快な家-西村伊作の建築 -
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 28日

画像提供:INAXギャラリー1

Houses for Comfort

教育者、文化人、さらには今までにない発想をもつ設計者として、大正から昭和にかけて自由闊達に、鮮烈に生きた人物、西村伊作。自由な考え方は暮らしそのものにも及び、文化的に住まうライフスタイルを伝えようとしたのです。理想の住まい、暮らしのユートピアのために、100年前に試みた、彼の自邸や建築作品を中心にご紹介します。

西村伊作(1884-1963)は和歌山県の新宮市に生まれ、ここに3軒の自邸を建てました。最初の家は、1906年にわが国で最初に建設されたアメリカ式のバンガロー住宅です。実用的な簡易住宅のスタイルは、今日の洋風住宅の祖形となる画期的なものでした。その後、理想の生活を実践するために工夫を重ね、いわば集大成として3番目の自邸(現・西村記念館、以下自宅Ⅲ)を完成させます。

当時は、客間と主人の部屋を重視した「接客本位」の間取りが主流でしたが、家族が楽しく暮らせる生活を重視した「家族本位」への転換を試み、居間中心の間取りを初めて提唱したのです。それは、当時の封建制度の打破でもあり、生活全般の大きな変革への挑戦でもありました。

また、設備面の改善にも取り組み、上下水道がなかった時代に、蛇口をひねると水とお湯がでる仕組みや、水洗式のトイレなど、給排水システムも独自に工夫を重ねました。日本人の生活改善を目指した彼の活動は、日本の近代住宅史の中でも大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

会場では、まず伊作の思いが凝縮した自邸Ⅲを、模型や間取り図をガイドに写真パネルで詳しく紹介します。伊作は自邸のために、自分の生活に合う丈夫でシンプルな家具も数多くデザインしました。その中から居間用の椅子やタイル張りの化粧台など貴重な作品も実物でご覧いただきます。

また、教会や保育園を含めた現存する数少ない建築も9軒ご紹介します。アイデアを書きとめた直筆のスケッチブックや、子供たちのためにデザインした洋服なども展示します。彼の理想の住まいの形は、今見ても発見や驚きが多いことに改めて気付かされます。

全文提供: INAXギャラリー


会期: 2011年9月1日(木)-2011年11月19日(土)
会場: INAXギャラリー1

最終更新 2011年 9月 01日
 

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