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河田政樹:Kontrapunct
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 28日

《Untitled (Mirage)》2010年 | タイプCプリント|サイズ未定 | Copyright© Masaki Kawada | 画像提供:GALLERY CAPTION

音楽には複数の独立した旋律を重ね合わせて美しい響きを得るという作曲技法がありますが、環境の変化に寄り添いながら作品を展示するということは、対位法で作曲する事に似て、消えてはまた現れる多様な響きに耳を傾け、距離を測り、どれもが主旋律や伴奏にならないようにする事かもしれません。
-河田政樹 2011年7月

河田政樹(1973年東京生まれ/ 1999年多摩美術大学大学院修了)は、ミュージアムショップやカフェといった展示スペース以外の場での展開をはじめ、架空の新書の形式にのっとり進められた「かわだ新書プロジェクト」では本を媒体とし、それらを全国の美術館や画廊、カフェ、書店等に配本、発表するなど、美術の範疇から少しはずれた機会、媒体を通じて、美術とそうでないものの境界線を確かめながら「美術とは何か」を問いつづける作家として、注目されています。

本展のタイトル「Kontrapunct」(コントラプンクト:独)とは、音楽用語である「対位法」(たいいほう)を意味しています。対位法とは、複数の旋律を、それぞれの独自性を保ちながら互いによく調和させ、重ね合わせる技法のことを言い、馴染み深いところでは、輪唱やカノンがそれにあたります。輪唱は同一の旋律によるものですが、カノンは異なる音からはじまるものや、リズムや時間に差のあるものを調和させることで成り立ちます。

今回、河田はこの対位法の方法論に、美術との共通点と着想を得て、主に写真とドローイング、そしてベンチと何台かのラジオを用いて展開します。ひとつひとつの作品の独立した二次元の世界に留まることなく、他の作品とのつながりを保ちながら、訪れた人々の動き、ラジオの音の流れ、日の光の移り変わりなどの環境の変化までもを展示の一部としてとらえ、作品とそれら常に変わりゆく出来事との重層的な重なりと、ゆるやかなつながりをもった三次元的な展示を試みます。

全文提供: GALLERY CAPTION


会期: 2011年9月10日(土)-2011年10月15日(土)
会場: GALLERY CAPTION
アーティスト・レセプション: 2011年9月10日(土)18:00 - 19:30

最終更新 2011年 9月 10日
 

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