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泉太郎:ヤブ医者/髭の中
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 10日

画像提供:スプラウト・キュレーション | Copyright© Taro Izumi

開催に合わせて、ドローイング集を作りました。泉太郎は、言うまでもなく純粋な絵描きではありませんが、僕はかつて彼のドローイングのクオリティの高さに魅せられ、スプラウト7号では表紙にしたほどです。

今回は膨大な数のドローイングから選りすぐり、半透明のクラフト紙に印刷しました。しかも全ページ袋綴じ。夏らしいブルーとイエロー、2種類の糸でミシンで製本しました。少し透けるので、複数のイメージがレイヤーのように重なって見えます。そして袋とじをカットすると、これまでとはまったく違う表情が現れます。それは「ウラから透けて見えるオモテ」の世界。まさに泉太郎の本質の一端に触れるような、くすぐったい楽しさが味わえます。

展示はもちろん泉太郎らしい、一癖も二癖もある、ドローイングが、所狭しとギャラリーを満たします。

全文提供: スプラウト・キュレーション


会期: 2011年7月30日(土)-2011年9月17日(水)
会場: スプラウト・キュレーション

最終更新 2011年 7月 30日
 

編集部ノート    執筆:田中 みずき


画像提供:
スプラウト・キュレーション

    「描く」という行為と、「触れる」という行為の意味は、ある部分が重なって、ほかの部分は別である。両者の境目を探っているのが、本展覧会だろう。
    泉太郎は、スニーカーにペンを取り付けて、椅子に座って足で絵を描く。その映像が流れる横に展示されているのが、完成した絵と、ペンのついたスニーカーの実物。彼の足があった跡が、そのまま画面に残っている。そのほか、両手にペンを持って描かれた作品とその制作画像などもある。
    重心を確かめながら自分の足や両手を動かしていき、人体から比べればあまりにも細いペンの先で白い画面に触れていく泉の姿に、つい見入ってしまうだろう。その、あまりにもぎこちない作画風景が、身体の在り処を探る動きに見えてくる。
    一緒に展示されている額縁入りのドローイングや画集を観た後、本展覧会で描かれたものが絵画だったのか、自分に問うてみるのも面白い。


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