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宇野亜喜良とアール・ヌーヴォーの作家たち
編集部ノート
執筆: 田中 麻帆   
公開日: 2011年 8月 11日

宇野亜喜良 《シャンソン》 1968年
川崎市市民ミュージアム所蔵
Copyright© Akira Uno

1950年代からその独創的なイラストを支持され続け、現在も精力的に制作を行う宇野亜喜良の世界は、妖艶さ、グロテスクなイメージと、可憐さや優美さを併せ持つ。宇野は特に1960・70年代には寺山修司との交流から前衛劇団『天井桟敷』のポスターを手掛けたほか、様々な広告イラストを依頼され、熱狂的な反響を得た。

本展は、この時代の宇野のポスターをミュシャやビアズリーといった19世紀末のアール・ヌーヴォーの作家たちによるポスターと併せて見ることで、表現の特徴を浮き彫りにし、時代背景の共通性をも感じさせる試みとなっている。

宇野とアール・ヌーヴォー作家によるポスターが横顔、演劇、花、眼という4つのテーマに分けた上で並置され、類似するモチーフや描写を探しながら見ていくことができる。展示テーマの独自性もさることながら、各作家のポスターそれぞれに詳細な解説が添えられており、制作当時の社会的・文化的背景も味わえる。19世紀末と1960・70年代、各々のポスターを取り巻く時代の空気に思いを馳せ、印刷技法や顔料などの違いを見比べるのも楽しい。

最終更新 2015年 11月 01日
 

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