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菊地良博:社会制度の諸位相における考察
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 09日

画像提供:アイショウミウラアーツ | Copyright© Yoshihiro Kikuchi

約2年ぶりとなります菊地良博の展覧会。これまでも様々な作品を発表し続けて来た菊地ですが今回の展覧会は、菊地が近年強く関心を示している”社会制度の諸位相における考察”に対する一連のシリーズを発表します。

菊地は、今回の展覧会について、「社会制度(広義に言語が機能するすべての領域)において恣意的かつ偶発的な文節行為に、新たなる階層を介入させ、それら既存にある通念化された文節行為に新たなる価値観を生み出そうとするもの」と述べています。

ここでの表現は、ポルノ小説の解体/再構築、データのエラーを偶発させた手を使わないペインティング、時間を経て現在と距離の離れた過去作品の再利用、死体やプロレスラー、AV女優など現実から距離をおかれたアイコンの利用、また、これらをコントロールするために独自の電子プログラムを利用するなど様々です。

これらの表現の背後には、普段から恣意的かつ偶発的に現れては消える社会制度内の価値観に対して、どういう立場であったとしても、ただ受け身でさらされるだけしかない我々に警告を発するとともに、こういった社会制度内の価値観をコントロールし、解体、再構築し、新しい社会構造のメタファーを生成しようとする、菊地の強い意志が存在します。

菊地の作品は、巨大かつ複雑にふくれあがった今の社会制度内において、思考する楽しさと思考することの難しさ、受け身でいることの気楽さと受け身でしかいられないことの辛さ、これら直接的な問題提起ではないにせよ、この二律背反するパワーバランスが見る者に能動的かつ、主体的な考察を求めてきます。

全文提供: アイショウミウラアーツ


会期: 2011年8月6日(土)-2011年9月17日(土)※8月23日〜8月30日は休廊
会場: アイショウミウラアーツ

最終更新 2011年 8月 06日
 

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