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樫木知子 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 2月 12日

《箱の中》 copy right(c) Tomoko KASHIKI / Coutesy of Ota Fine Arts

《花》 copy right(c) Tomoko KASHIKI / Coutesy of Ota Fine Arts

京都市立芸術大学博士課程に在籍する若手作家、樫木知子の初個展。 樫木の描く人物像は、時に断片化し、部屋、あるいは庭といった、限られた空間に配置され、人とにじみ出る存在感を絵画表面に閉じ込めています。 平滑なテクスチュアと流麗な描線は、一見日本画と見まがうほどですが、作品は全てアクリルで描かれ、描いた画布の上をサンダーで削り、再び描き、また削るというプロセスを経て、滑らかな絵画表面と幾重にも重なる色層の背景を獲得しています。近世絵画や平安仏画、さらに松園や栖鳳の美人画をも彷彿とさせる画風は、京都に生まれ学んだことによるのかもしれません。 本展覧会では、最新作の大型絵画を中心に計9点の近作絵画を展示いたします。捻じれた指先をからめあう二人の中性的な人物像や、床の木目に溶け込んだ寝そべる人など、いずれもありふれた風景を描きながらも、樫木の絵画は、奇妙な身体の変形や分断といった特異なディテールと空間表現により、さながら白昼夢のように鮮烈な印象を残します。思い出せない遠い過去の記憶、あるいはまだ見ぬ未来を示すのか、作家の豊かな想像力による、軽やかで同時に濃密な絵画をお楽しみください。 樫木は、3月15日より開催されます「VOCA 2009 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」にも新作絵画2点を出品しており、本年度VOCA奨励賞を受賞しております。
※全文提供: オオタファインアーツ

最終更新 2009年 3月 13日
 

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