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名和晃平:GRID - Synthesis KOHEI NAWA
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 8月 01日

画像提供:B GALLERY
Copyright© Kohei Nawa

    東京都現代美術館で開催中の「シンセシス」展も注目の名和晃平による展覧会。
    「GRID」と名づけられた本展覧会は、名和の「CELL」をテーマとした作品の一つである。「シンセシス」展でも取り上げられていたテーマであるデジタルの世界観をアナログの世界に具現化する作品が、今回特集されていた。
    展示されているのは、平面作品。吸水性の無い紙の上でアクリル絵具が膜を張り、極小の細胞のような形となって画面に広がっている。膜の作り出す「単位」が並ぶ様はデジタルの世界を連想させ、しかし生み出された形状は有機的でもある。両者が同一画面上に混在し、デジタル・アナログの境界が揺らぐ作品となっている。
    幾つものパネルが壁一面に組み合わさった展示スタイル自体にも注目したい。1枚のパネルを見ると、そこには幾何学的モチーフが並列しデジタルの世界が現れる。一方で会場全体に目をやると、会場に並ぶパネルの1枚1枚はセル、すなわちアナログな存在の見立てのように見える。本展の展示は、このような両義性を明らかにする。鑑賞者には是非、小さなモチーフと大きな画面を体感して欲しい展示である。

最終更新 2011年 7月 29日
 

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