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田代一倫:椿の街
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 25日

画像提供:photographers' gallery | Copyright© TASHIRO Kazutomo

田代一倫が撮影している九州北部と海峡を挟んだ韓国南部一帯は、ともに椿の花に深い縁があります。

有名な歌「釜山港へ帰れ」は「椿咲く 春なのに あなたは帰らない」の歌詞で始まり、海峡を繋ぐ連 絡船は、椿の英語名を使って「ニューかめりあ」と名付けられています。さらにまた、椿をシンボル としている街も多くあります。

田代は、新日本製鐵に代表される鉄の街「八幡」で幼少期を過ごし、玄界灘に囲まれた福岡市に長く 暮らしていました。これまで、そうした自分と深く関わりのある場所を撮影し、発表を続けてきまし た。そこでは、衣服や立ち振る舞い、住居や各地方に根付いた食べ物など、文化的な差異が強く意識 されていました。しかし、一年半前より東京で暮らしはじめ、あらためて遠く離れた故郷を見なおす ことによって、彼の写真も大きく変化しています。九州と朝鮮半島は海峡で隔てられているのではな く、それによって深く結びつけられている一つの大きな場所だと捉えるようになりました。博多にも 釜山にも椿の花が咲くように、さまざまな差異とともに、そこには同じ気候風土に暮らす人々の近し さが見てとれます。

撮影場所:福岡県福岡市、北九州市、山口県萩市、島根県出雲市、釜山広域市、全羅南道木浦市、麗水市

田代一倫 TASHIRO Kazutomo
1980年 福岡県生まれ 2010年 九州産業大学大学院博士後期課程造形表現専攻満期退学。個展に「浮憂世代」(新宿ニコンサロン・東京)、「八幡」(アジア フォトグラファーズ ギャラリー・福岡)、「椿の街」(photographers’gallery・東京)など。グループ展に「社会標本展」(ギャラリーON・ソウル)、「消滅の技法展」(福岡アジア美術館)、「Social Voyeurism」(ギャラリーアートリエ・福岡)、「クロッシング・カオス1999-2009」(銀座ニコンサロン)など。第8回三木淳賞奨励賞受賞。

全文提供: photographers' gallery


会期: 2011年10月4日(火)-2011年11月4日(金)
会場: photographers' gallery

最終更新 2011年 10月 04日
 

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