| EN |

小松浩子:資本の有機的構成
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 19日

画像提供:Gallery Q | Copyright© Hiroko Komatsu

作家コメント
空想は現前の知覚に無い事象を心に浮かべる想像の一形態として日常的に広く行われている。
空想は観念や心象として現れる精神活動またはその所産であり願望充足の機能を持つ事がある。
願望充足が機能している状態は理想と呼ばれ、行為・性質・状態などに関して常人が考え得る最高の状態を指す。理想とは未だ現実には存在しないが実現可能と仮定された行為の目的であり機動力とされる。対して現実とは理想実現への障害を含むと同時に理想実現の可能性の否定をも含み、現前に事実としてある事象を指す。現実においては行為・性質・状態などに関して願望充足が機能し得ず、理想が実現し得ないという事実が成立する。行為・性質・状態などに関して願望充足が機能し得ないという事実は、理想という存在はしないが実現可能と仮定された行為を反復する事を強いることになる。設定された理想により反復される行為は様々だが、空想の上では理想は実現可能であるため願望が充足されるまで行為は繰り返される。ひとたび充足されれば行為を終え考え得る最高の状態に至るはずだが、現実において理想は実現不可能であるため願望は永遠に充足されず理想実現の目的と機動力は永遠の反復行為に置換される。
相互に関連し合い全体を構成している各要素や部分が有する固有の役割を果たす事を機能と呼ぶ。
永遠の反復において行為は不変であるが、各構成要素の役割が固有ではあり得ないため機能も不変ではあり得ない。テトラポッドは異形ブロックとも呼ばれ四面体の頂点をそれぞれ先端とする四本の足から成るコンクリート塊を指し防波堤や海岸堤防などを波から保護する役割と不動の機能を持つ。想定外の大波が押し寄せると保護の役割と不動の機能は変更を強いられ陸を数キロメートルにも渡り行軍するが四本の足から成るコンクリート塊である事には変わりがない。
外的要因、内的要因に係らず常に役割と機能は変更されるが、行為は変更される事無く反復を続ける。

小松浩子
神奈川県生まれ

個展 2009-11 「チタンの心」ギャラリー山口、東京
2010-06 「Monthly Exhibition #01」ブロイラースペース、東京
2010-07 「Monthly Exhibition #02」ブロイラースペース、東京
2010-08 「Monthly Exhibition #03」ブロイラースペース、東京
2010-09 「Monthly Exhibition #04」ブロイラースペース、東京
2010-11 「Monthly Exhibition #05」ブロイラースペース、東京
2010-11 「速度計」ギャラリー Q、東京
2010-12 「Monthly Exhibition #06」ブロイラースペース、東京
2011-01 「Monthly Exhibition #07」ブロイラースペース、東京
2011-02 「Monthly Exhibition #08」ブロイラースペース、東京
2011-03 「Monthly Exhibition #09」ブロイラースペース、東京
2011-04 「Monthly Exhibition #10」ブロイラースペース、東京
2011-07 「資本の有機的構成」ギャラリー Q、東京

グループ展
2011-05 「写真の地層展 Vol.13」世田谷美術館 区民ギャラリー、東京

その他 2010-11 レクチャー
「写真とは何か?-写真は見る者のまなざしを眠らせ、私たちの欲望に従って動く世界を夢みさせる」新潟大学人文学部 2011-05 スライドショー「antidrawing #1」横浜美術館レクチャーホール

全文提供: Gallery Q


会期: 2011年7月18日(月)-2011年7月23日(土)
会場: Gallery Q

最終更新 2011年 7月 18日
 

関連情報


| EN |