名和晃平:GRID - Synthesis KOHEI NAWA |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 7月 19日 |
「Cell」という概念をもとに、先鋭的な彫刻・空間表現を展開する名和晃平。東京都現代美術館で開催中の個展「Synthesis(シンセシス)」のサテライト展示をB GALLERY で行います。 名和晃平の作品は情報社会における感覚や思考のメタファーとしてビーズやプリズム、発砲ポリウレタン、シリコーンオイルなど流動的な素材・メディアを扱い、デジタルとアナログの間を揺れ動く身体と知覚、感性のリアリティを表現しています。 B GALLERY では初となる名和晃平の展示は、彼の作品群より「GRID(グリッド)」の新作を展示します。「GRID」シリーズとはユポ(ポリプロピレン製合成紙)にアクリル絵の具で描かれる立体作品で、作品との実際の距離感で、見る者にデジタルとアナログの異なる印象を与えます。本シリーズは東京都現代美術館での個展では展示されず、B GALLERY のみとなります。この機会をお見逃しなく。 【名和晃平(なわこうへい)】 http://www.kohei-nawa.net/ 全文提供: B GALLERY 会期: 2011年7月16日(土)-2011年8月10日(水) |
最終更新 2011年 7月 16日 |
東京都現代美術館で開催中の「シンセシス」展も注目の名和晃平による展覧会。
「GRID」と名づけられた本展覧会は、名和の「CELL」をテーマとした作品の一つである。「シンセシス」展でも取り上げられていたテーマであるデジタルの世界観をアナログの世界に具現化する作品が、今回特集されていた。
展示されているのは、平面作品。吸水性の無い紙の上でアクリル絵具が膜を張り、極小の細胞のような形となって画面に広がっている。膜の作り出す「単位」が並ぶ様はデジタルの世界を連想させ、しかし生み出された形状は有機的でもある。両者が同一画面上に混在し、デジタル・アナログの境界が揺らぐ作品となっている。
幾つものパネルが壁一面に組み合わさった展示スタイル自体にも注目したい。1枚のパネルを見ると、そこには幾何学的モチーフが並列しデジタルの世界が現れる。一方で会場全体に目をやると、会場に並ぶパネルの1枚1枚はセル、すなわちアナログな存在の見立てのように見える。本展の展示は、このような両義性を明らかにする。鑑賞者には是非、小さなモチーフと大きな画面を体感して欲しい展示である。