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金子富之:妖怪実体化
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 14日

《赤虎》 2009年
岩絵具、墨、透明水彩、アクリル、ペン、箔、洋紙
219x174cm
画像提供:ミヅマ・アクション
Copyright© Tomiyuki Kaneko

今展は休止を目前に控えた中目黒、ミヅマ・アクションで急遽開催されることとなりました。金子富之は未曾有の災害に直面する東北の地で活動を続けている若手作家で、主に妖怪や精霊などを題材に選んでいます。妖怪は私たちの住む日本の様々な土地での生活から生まれ、時に歴史に表れない真実を隠し持ち、時に未来への警告を内包します。妖怪とは、支配者ではなく生活者によって伝えられてきた土俗の歴史の一片です。今日のような変化の現れている時代に、私たちは妖怪からどのようなメッセージを受け取ることが出来るのでしょうか。

1978年埼玉県に生まれた金子富之は、幼少より土俗的な精神世界へ興味を持ち、高校卒業後は「遠野物語」などを育んだ東北の土地がもつ空気に惹かれ、東北芸術工科大学で日本画を学びました。2009年に同校の博士課程を修了したのちも、同地で妖怪や精霊、神々など精神的な存在を絵画化し続けています。ミヅマ・アクションでの初個展となる今展では、これまでの代表作の一部から最新作、ドローイングまで自身の妖怪観により表現した多数の絵画作品で壁を埋め尽くします。

金子は唯識思想における第七識「末那識」という潜在意識層こそ、妖怪をはじめ日常に潜む「魔」の源泉と捉えています。全ての生物に備わる生への意思、本能である第八識「阿頼耶識」に比べ、末那識とは人間固有の無意識の自己執着心であり、生活の中で常に私たちを惑わせます。しかし自己執着の潜在意識こそ、人間が人間たる所以です。人間が苦悩し何かに向かう力、それはアートが証明する人間という存在の源泉でもあり、土俗的想像力と交わることで妖怪という存在をも示唆してきました。妖怪の姿かたちの奥底を見つめ続ける金子の作品をぜひご高覧下さい。

※全文提供: ミヅマ・アクション


会期: 2011年7月21日(木)-2011年8月13日(土)

会場: ミヅマ・アクション

最終更新 2011年 7月 21日
 

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