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西村美和:Around The World
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 1月 26日

"Rien" digital c-print 145×115cm copy right(c) Miwa NISHIMURA / Courtesy of YOKOI FINE ART

"Rien" digital c-print 145×115cm copy right(c) Miwa NISHIMURA / Courtesy of YOKOI FINE ART

「人は生をうけて初めて酸素を吸いこんでから夥しい事物に触れ、まっさらな意識の鏡にそれらのデータを映し込んでいきます。 個々は個々の映し込んだレイヤーを重ねて、喜び、悦び、歓び、慶び。悲しみ,哀しみ。笑い、嗤い、辛い、などのたくさんの世界を創ります。無意識のうちに、周囲(社会)の類似と差異の狭間で、それぞれの鏡面に多くの世界が生まれるでしょう。この< Around The World >では、女性のBody を舞台に、一場面ごと意識の一世界を旅していく構想にしました。一瞬の緊張感を必要とする静止画に、そのとても短い時間の中で、時間、空間、心象の間の境界線を同時に行き来出来る、1ヶ所に留まることのない「現実」を探していく試みです。
・・・(中略)・・・
私にとっての『現実』は、一見対立している概念が本質を保ちつつ、あっという間に入れ替わる瞬間に流れる融合音です。音は波長で、常に揺れ動き移動するので捉えづらいこと極まりない。この旅行は果てしなく続く旅行です。」
西村美和 今展では新作「Around The World」を発表いたします。西村が語るように意識の世界を巡る長く果てしのない旅をテーマにしています。女性の身体を世界に見立て、そこで繰り広げられる人間模様を内面から、本質を暴き出すかのように写し出します。 例えば“Rien(Nothing)”と題した作品では、飽きること無く泉に映った自分の姿に見惚れるギリシア神話ナルキッソス(Narcissus/Narkissos)がモデルとなっています。自分に恋焦がれるあまり、やがて死に絶え黄色い水仙となったナルキッソスの末路を暗示するように辺りには水仙が咲いています。髪を振り乱して必死に覗きこむ彼女たちの目には一体何が映っているのか、こちらからは伺い知ることはできません。そこにはナルキッソスが見たもとと同様生産性のない自己愛のみが存在するのか、はたまた「何も存在しない」のか、身をのりだすあまり泉に見立てられた底なしのへその穴へいつ落ちるともしれない緊張感さえ伝わってきます。 世界(地上)である女性の姿態からもまたその弾力性における地盤の不安定さ、身体を動かせばいつ天変地位が起きるか分からない危うさ、肉体の老いにおける故郷の消滅…を想起させられます。私たちが足を下ろしているこの地球も一つの生命体である以上、肉体と同様とても脆く危うい世界であることに変わりありません。自分の歩んできた道、今いる地点は確かに存在しているのか、足下からぐらつく感覚と自分を取り巻く世界を再認識する感覚、西村の「『現実』を探す試み」に巻き込まれたかのようです。 西村 美和 / Miwa Nishimura 略歴
東京都生まれ
1982-1986 女子美術大学芸術学部絵画科日本画専攻
1988-1989 スペインバルセローナ芸術大学絵画科 個展
2009  “Around The World”/YOKOI FINE ART 東京、日仏外交150周年記念祭 イシー市主催「日本の色」西村美和個展 /エスパールイカール フランス
2008 日仏交流150周年記念祭 個展/イシー市 フランス、ヴァンヴ市立劇場 ヴァンヴ市 フランス
2007 デジタルアートセンター CUBE /アルクドウセーヌ圏域後援 イシー市 フランス
2006 ニュイ ブランシュ/白夜祭プロジェクト リラ市 パリ市 フランス
2005 メゾンデザール クレテイユ国立劇場/クレテイユ市 フランス 
2004 ギャラリーアート9/パリ市 フランス グループ展
2007 「iBrow」/ロサンジェルス センター フォー デジタルアート「アートレインボープロジェクト」/ロストック市立美術館 ドイツ、「クロッシングポートレート」/フランスカード美術館 イシー市、新年祭投影プロジェクト/ギャルドウシャッス劇場 リラ市、アートパリ/グランパレ ギャラリーカメラオブスキューラ パリ市
2006 「20人の現代作家展」/LEPF高等技術学校 ソー市 
2005 ビエンナーレ ドウ イシー/イシー市、「焦点」写真月間/ギャラリージャコブ1 パリ市、「レザルシュの美術家展」/エイギョンデーパート、ギャラリースペース ソウル インサプラザギャラリー ソウル市、 「女性の瞬間」/サロンデコレクショナール ギャラリーリヴィニック パリ市、モンルージュコンテンポラリーサロン 50周年記念展/ モンルージュ市 
2004 「様々な人体写真展」ギャラリーホワイトエレファン パリ市、 「コレグラフィー」レザルシュ フランスカード美術館 イシー市 ライブプレゼンテーション
2007 リラ市新年祭 投影プロジェクト/ギャルドウシャッス劇場 受賞等
2005 モンルージュコンテンポラリーアート50周年記念展 ニコラ サルコジー/オーツドウセーヌ県会議長賞  パブリックコレクション
ヴァンヴ市、社会文化センター、フランス ※全文提供: YOKOI FINE ART

「人は生をうけて初めて酸素を吸いこんでから夥しい事物に触れ、まっさらな意識の鏡にそれらのデータを映し込んでいきます。 個々は個々の映し込んだレイヤーを重ねて、喜び、悦び、歓び、慶び。悲しみ,哀しみ。笑い、嗤い、辛い、などのたくさんの世界を創ります。無意識のうちに、周囲(社会)の類似と差異の狭間で、それぞれの鏡面に多くの世界が生まれるでしょう。この< Around The World >では、女性のBody を舞台に、一場面ごと意識の一世界を旅していく構想にしました。一瞬の緊張感を必要とする静止画に、そのとても短い時間の中で、時間、空間、心象の間の境界線を同時に行き来出来る、1ヶ所に留まることのない「現実」を探していく試みです。
・・・(中略)・・・
私にとっての『現実』は、一見対立している概念が本質を保ちつつ、あっという間に入れ替わる瞬間に流れる融合音です。音は波長で、常に揺れ動き移動するので捉えづらいこと極まりない。この旅行は果てしなく続く旅行です。」
西村美和 今展では新作「Around The World」を発表いたします。西村が語るように意識の世界を巡る長く果てしのない旅をテーマにしています。女性の身体を世界に見立て、そこで繰り広げられる人間模様を内面から、本質を暴き出すかのように写し出します。 例えば“Rien(Nothing)”と題した作品では、飽きること無く泉に映った自分の姿に見惚れるギリシア神話ナルキッソス(Narcissus/Narkissos)がモデルとなっています。自分に恋焦がれるあまり、やがて死に絶え黄色い水仙となったナルキッソスの末路を暗示するように辺りには水仙が咲いています。髪を振り乱して必死に覗きこむ彼女たちの目には一体何が映っているのか、こちらからは伺い知ることはできません。そこにはナルキッソスが見たもとと同様生産性のない自己愛のみが存在するのか、はたまた「何も存在しない」のか、身をのりだすあまり泉に見立てられた底なしのへその穴へいつ落ちるともしれない緊張感さえ伝わってきます。 世界(地上)である女性の姿態からもまたその弾力性における地盤の不安定さ、身体を動かせばいつ天変地位が起きるか分からない危うさ、肉体の老いにおける故郷の消滅…を想起させられます。私たちが足を下ろしているこの地球も一つの生命体である以上、肉体と同様とても脆く危うい世界であることに変わりありません。自分の歩んできた道、今いる地点は確かに存在しているのか、足下からぐらつく感覚と自分を取り巻く世界を再認識する感覚、西村の「『現実』を探す試み」に巻き込まれたかのようです。 西村 美和 / Miwa Nishimura 略歴
東京都生まれ
1982-1986 女子美術大学芸術学部絵画科日本画専攻
1988-1989 スペインバルセローナ芸術大学絵画科 個展
2009  “Around The World”/YOKOI FINE ART 東京、日仏外交150周年記念祭 イシー市主催「日本の色」西村美和個展 /エスパールイカール フランス
2008 日仏交流150周年記念祭 個展/イシー市 フランス、ヴァンヴ市立劇場 ヴァンヴ市 フランス
2007 デジタルアートセンター CUBE /アルクドウセーヌ圏域後援 イシー市 フランス
2006 ニュイ ブランシュ/白夜祭プロジェクト リラ市 パリ市 フランス
2005 メゾンデザール クレテイユ国立劇場/クレテイユ市 フランス 
2004 ギャラリーアート9/パリ市 フランス グループ展
2007 「iBrow」/ロサンジェルス センター フォー デジタルアート「アートレインボープロジェクト」/ロストック市立美術館 ドイツ、「クロッシングポートレート」/フランスカード美術館 イシー市、新年祭投影プロジェクト/ギャルドウシャッス劇場 リラ市、アートパリ/グランパレ ギャラリーカメラオブスキューラ パリ市
2006 「20人の現代作家展」/LEPF高等技術学校 ソー市 
2005 ビエンナーレ ドウ イシー/イシー市、「焦点」写真月間/ギャラリージャコブ1 パリ市、「レザルシュの美術家展」/エイギョンデーパート、ギャラリースペース ソウル インサプラザギャラリー ソウル市、 「女性の瞬間」/サロンデコレクショナール ギャラリーリヴィニック パリ市、モンルージュコンテンポラリーサロン 50周年記念展/ モンルージュ市 
2004 「様々な人体写真展」ギャラリーホワイトエレファン パリ市、 「コレグラフィー」レザルシュ フランスカード美術館 イシー市 ライブプレゼンテーション
2007 リラ市新年祭 投影プロジェクト/ギャルドウシャッス劇場 受賞等
2005 モンルージュコンテンポラリーアート50周年記念展 ニコラ サルコジー/オーツドウセーヌ県会議長賞  パブリックコレクション
ヴァンヴ市、社会文化センター、フランス ※全文提供: YOKOI FINE ART

最終更新 2009年 3月 14日
 

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