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横山裕一:カラー土木
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 07日

《Color Engineering 204》2011年 | Acrylic on canvas|727 x 530 mm | 画像提供:ナンヅカ・アンダーグラウンド | Copyright© Yuichi Yokoyama

横山裕一の新作個展。本展は、2010年11月から2011月2月にかけてNANZUKA AGENDA Shibuyaにて開催された横山裕一のオープンスタジオで制作されたキャンバス作品約18点と、2004年から1年間、雑誌「STUDIO VOICE」にて連載された漫画「カラー土木」全12話の原画からなります。

横山裕一は1967年宮崎県生まれ、1990年に武蔵野美術大学油科を卒業、95年より漫画家として活動を続けているアーティストです。漫画のみならずそのカラフルなペインティングやドローイングを愛するファンは数多く、これまでに「横山裕一ネオ漫画の全記録:わたしは時間を描いている」(2010年 川崎市民ミュージアム)や「City net Asia」(2009年 ソウル市立美術館)、「六本木クロッシング」(2007年 森美術館)へ出展し、アートシーンからも高い評価を受けています。既存のコミック界とアートシーンのどちらにも収まりきらないその才能は、海外からも高く注目され、2012年には「MANGA」(ポンピドゥー・センター)への出展も予定しています。

本展のタイトル「カラー土木」は、横山の工事現場—道路や建築、ダムの作業風景—に寄せた関心からきています。横山は、「私は職業的な道具や、手持ちの素材を工夫して使い、何かが造られる過程を眺めることが大好きだ。完成された建築物よりも、その制作の過程、時間の経過を見るのが楽しいのだ」と語ります。その言葉からも伺えるように、横山のクリエーションは「時間」「過程」「経過」がキーワードとなっています。一定のリズムで刻々と経過していく特有の時間表現は横山作品の最大の特徴の一つです。また、その神秘的で不可思議な風景描写も、横山ワールドを紐解くキーワードの一つです。幼い頃より引っ越しを繰り返し経験してきた横山は、これまでに様々な土地を目にしてきました。「私は風景や自然に大変気高い魅力を感じている。人間の作り出した世界がいとも簡単に壊れやすく、不確かであるのに対し、自然は永続的で神々しくさえもある。その巨大な力の前では、人間は小さなもので、ただただ見ているしかないのだ」と横山は語ります。彼の描く作品に登場する様々な風景や出来事、そこに常に存在する緊張感、いつでも自分の身ひとつで動けるように備えてあるキャラクターの描写は、横山が自然に対して抱く畏怖の念や、尊びの表れとも言えるでしょう。

横山は、今回の個展に寄せて、次のように語っています。

「本展の作品は、自然界と、それに対する人間の欲望の間にある緊張感のようなものを、描いたシリーズである。私は、例えどんなものをテーマやモチーフに選んだとしても、目の前に映る具象ではなく、そこに存在する特別な時間を描きたいと思っている。」

9月3日18:00より、この展覧会にあわせて出版される、横山裕一の新作漫画画集「カラー土木」のリリースを兼ね、アーティストを囲んでのオープニングレセプションを行います。

全文提供: ナンヅカ・アンダーグラウンド


会期: 2011年9月3日(土)-2011年10月1日(土)
会場: ナンヅカ・アンダーグラウンド
レセプション: 2011年9月3日(土)18:00 - 20:00

最終更新 2011年 9月 03日
 

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