| EN |

湯川雅紀 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 07日

《Spur》2011年 | oil on canvas|180X125cm | 画像提供:コバヤシ画廊 | Copyright© Masaki Yukawa

1966年和歌山に生まれ、1990年代にドイツに渡りデュッセルドルフ芸術大学を卒業以来主にドイツを制作活動及び発表の場として来た湯川雅紀。今回は「色面と線」についての考察をテーマにしています。新作の大作4-5点と、小品数点を展示予定です。

作家コメント
色面と線

私の作品の基本的な構造は、透明感のある楕円や不透明な楕円が重なり合った層構造を持つ空間です。楕円は円板のらせん形の繋がりを表現したもので、それが多層的に重なることで絵画空間を創出しています。

昨年の展覧会ではそれがグリッドによって隠されるとどう見えるかという試みを行いました。これは近年重なり合う楕円の層が多くなり、画面が息苦しくなってきたように思われたので、意図的に描かない部分を画面に導入し、その部分を想像させることで作品に広がりを持たせようとしました。

今回の展覧会では、グリッドではなく線の楕円で空間を仕切るとどうなるか、というテーマで制作したものを何点か展示します。これまで画面の中で重なっていた楕円の色面のうち、一番前にある層を輪郭線のみで表現すると、本来見えるはずではなかった向こう側が見えます。そして楕円の線で囲われた内部が、それ自体独自の空間として機能し、他の背景と同居しているという、不思議な感覚の空間が出現しました。絵画のもっとも根源的な要素である色面(Painting)と線(Drawing)が有機的に関係しあった状況を、自分の絵の文脈の中で実現することができた・・・かどうかはわかりませんが、少なくともこれからの制作の方向性は垣間見えたのでは、と思っています。

湯川雅紀(Masaki Yukawa)
1966 和歌山県生まれ
1989 和歌山大学教育学部卒業
1996 ドイツ国立デュッセルドルフ芸術大学芸術学科修了
現在ドイツ・ヴッパータールおよび和歌山に在住

個展
1990より個展多数
2002 シュヴェルム芸術協会(シュヴェルム、ドイツ)
ギャラリー・レスマン&レンザー(ロートガウ、ドイツ)[06、09]
ブリュール芸術協会(ブリュール、ドイツ)
2004 第一生命南ギャラリー(東京)[10]
2006 カスヤの森現代美術館(神奈川)
2010 コバヤシ画廊(東京)

グループ展(抜粋)
1998 「Zwischen Himmel und Erde」 bbk-ベルギッシュ・ラント(ヴッパータール、ドイツ)
1998 「VOCA展 ’98 ―現代美術の展望 新しい平面の作家達―」 上野の森美術館(東京)
2001 「Falten und Verbinden」 バントファブリック(ヴッパータール、ドイツ)
2004 「VOCA1994 – 2003 -10年の受賞作品展-」 大原美術館(倉岡山)
2005 「Volker Saul / Masaki Yukawa」ケルン日本文化会館(ケルン、ドイツ)
2006 「VOCA展に映し出された現代-いまいるところ/いまあるわたし-」 宇都宮美術館(栃木)
「nakao_yukawa」ギャラリー・レスマン&レンザー・コンテンポラリー(アシャッフェンブルグ、ドイツ)
2008 「unruh」クンストラウム・コンズーム(デュッセルドルフ、ドイツ)
「MOTコレクション 新収蔵作品展-賛美小舎上田コレクションより」東京都現代美術館(東京)
「絵画-単立と連立-Ⅱ」 カスヤの森現代美術館(神奈川)
2009 「Spur des Raumes」シュトルベルク城ギャラリー(シュトルベルク、ドイツ)
2010 「ゲンダイビジュツ道(ドウ?)」 練馬区立美術館(東京)

受賞
1998 「VOCA展 ‘98」VOCA賞 上野の森美術館(東京)
2008 海南市文化奨励賞(海南、和歌山)

パブリックコレクション
独日センタービル、デュッセルドルフ/東京国立近代美術館/東京都現代美術館/練馬区立美術館他多数

全文提供: コバヤシ画廊


会期: 2011年7月11日(月)-2011年7月16日(土)
会場: コバヤシ画廊

最終更新 2011年 7月 11日
 

関連情報


| EN |