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ロー・アスリッジ:farewell horses
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 1月 22日

copy right(c) Roe Ethridge: / Courtesy of RAT HOLE GALLERY

日本初となる本個展では「Horses」と「Flowers」のシリーズを中心に写真作品、約18 点を展示いたします。 アスリッジは、大判カメラを用い、ポートレイト、風景、ヌード、静物など古典的なモチーフを撮影した作品で高い評価を得ています。それら典型的ともいえる美しい写真たちは、しかし一見脈絡なく集められ、羅列されます。さらに見るものはそれらのなかに、複写されたものや、現像に失敗したかのような色のもの、瞬きをしているモデル等、通常ならばアウトテイクとされるであろう写真も差し挟まれていることに気づきます。 今回出展される「Horses」はアスリッジの生まれ故郷にほど近いジョージア州カンバーランド島に生息する< 野生> の馬を撮影したシリーズです。アスリッジは、デジタルカメラを用いカラー撮影したのち、白黒に変換し、それをバライタ紙に焼き付けるという作業を行いました。また、観光の目玉ともなっているこの<野生>の馬は、スペイン人により16 世紀に持ち込まれ、20 世紀前半にはこの島の大部分を所有していたカーネギー家により飼われ、そののち国立公園として指定され人為的に<野性>に返されたという歴史を持ちます。しかし現在はそのために頭数が増え、海岸の砂のついた海藻を食べるようになり病気になった馬を一時的に保護、治療し、ふたたび<野性>に返すという活動も行われています。 そして「Flowers」は10 年以上前にピンホールカメラで撮影されたカラーネガ・フィルムをデジタル・スキャンし白黒に変換されたものが、「Horses」と同様バライタ紙にプリントされています。 きれいで美しいこれらの写真は、フォトジェニックでありながら2 重、3 重にと錯綜しており、見るものに何度も写真の前に立ち帰ることを要求する力を持っています。また、アスリッジの写真のイメージとモチーフの両方からは、アスリッジがアメリカン・フォトグラフィーの歴史を自覚的に受け継ぐ、次の世代の数少ない写真家のひとりであるということが読み取れます。

「ある写真が壁やバス停にあって、テキストを描写していようが、キャプションがつけられていようが、その写真は同じである。写真はいたるところにあり、様々な形をとる、そしてそれは専門家あるいは愛好家、また時にはその両方のためのものにも同時になりうる、という事実をわたしは気に入っている。」(ロー・アスリッジ)

ラットホールギャラリーでは、ロー・アスリッジ写真集「farewell horses」を出版いたします。

※全文提供: RAT HOLE GALLERY

最終更新 2009年 2月 20日
 

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