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勝部敏之:インタビュー
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 6月 29日

画像提供:アルマスGALLERY | Copyright© Toshiyuki Katsube

勝部の作品では、分解と再構築に対する実験が繰り返されます。雑誌の記事や写真、新聞といった紙媒体から無作為に抽出したページやイメージをモチーフとして、10本の濃度違いのシャープペンシルを駆使し、紙に描き出していきます。

まず1mm単位のグリッドを引きピクセルを作り、それを1マスごとに塗りつぶしモチーフを微分していくことで、描写と出力の境目を曖昧にし、参照元の写真や記事が持つ固有の意味を変質させます。執拗にピクセルに分解された写真や記事は、それまでには無かった不穏な空気と、単一の単位の反復による視覚的な快楽性をはらんだものとなります。

そこには現代において、常に提供されるイメージを我々が信じ切っていないこと、それでいてイメージを欲っすることをやめられない表層を愛でる態度を暴露されるような赤裸々さが潜んでいます。

今回の個展では、アンディ・ウォーホルが創刊した『interview』誌をモチーフとしたインタビューシリーズを中心とした新作展になります。是非ご来場の上、ご高覧いただければ幸いです。

2010年11月14日。ふとしたきっかけから、ある古書屋へ立ち寄った。
古いながらも保存状態のよい雑誌がところ狭しと丁寧に並んでいた。
その中から興味を惹いたものから順に広げては数ページを眺めていった。
ふと左側の棚の上に目を遣ると棚には入りきらなかったであろう雑誌や本がビニールに包まれ積み上げられていた。

その中に「1970代インタビュー」と書かれた手書きのメモが貼り付けれた新聞の束らしきものを見つけた。
新聞の束。それはすべてアンディ・ウォーホルが創刊したインタビューというタブロイドだった。

著名人へのインタビューや映画のレビュー、新しいレコードやイベントの広告。
更新も削除もされない記事は当時のまま。
すべての時間が止まったまま。

紙はすっかり酸化していて、今にも破れやすくなっていた。
刷り上がったままの姿で、ただ見てくれだけが老いぼれていた。僕が生きている間はまだ形を留めているだろうけど、僕のひ孫のひ孫あたりになるとどうなっていることやら。
出会いの記念に絵を描こう。止まったままの中身を、止まったままの状態のまま。
僕が描いた絵もやがてはシミができて、変色して、もろくなっていくのだろう。
まぁ、描いてる僕だってその真っ最中だ。

勝部敏之 KATSUBE TOSHIYUKI
2005年より制作を開始。写真、新聞、雑誌などの様々なメディアを再構築する作品を制作。代表的な作品として、ヒトの頭部のみを描く「Head」、雑誌・新聞を再構築する「Reading」、「Grid」など。主な展覧会として、「The Present Tense(東京)」、「Pool Art Fair Miami(マイアミ)」。受賞歴として、蓑豊賞(GM2)。

全文提供: アルマスGALLERY


会期: 2011年7月9日(土)-2011年7月23日(土)
会場: アルマスGALLERY
オープニングパーティ: 2011年7月9日(土)17:00 -

最終更新 2011年 7月 09日
 

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