| EN |

シャルロット・ペリアンと日本
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 6月 27日

「芸術の綜合への提案―コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」東京髙島屋会場 1955年 | ©Archives Charlotte Perriand - ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011

「シャルロット・ペリアンと日本」展は、1940年代から戦後にかけて来日を繰返し、画期的な刺激をもたらして日本のデザイン界を鼓舞したシャルロット・ペリアン(1903―1999)の日本での事績をたどり、彼女と日本の人々との交流のなかで実現されていった成果を具体的に紹介しながら、ペリアン自身の仕事と日本のモダン・デザインの形成との関連を考察することを目的として企画されている。

シャルロット・ペリアンが、20世紀建築の巨匠ル・コルビュジエのアトリエで、ル・コルビュジエ、従弟ピエール・ジャンヌレ、坂倉準三らとともに仕事をし、建築と室内デザインに優れた業績を残したことは広く知られている。彼女の優れた才能に触れた坂倉準三や柳宗理の推薦もあって、ペリアンは、1940年8月に商工省の招聘にしたがって初めて来日し、工芸指導所で家具や室内装飾のデザインに自身の感覚と日本の素材とを融合させ、工芸指導所の若い研究員たちに素材の扱い、斬新なフォルム、デザイン手法など、モダン・デザインの実際を示して指導者としての役割を十分に発揮した。日本滞在のあいだにペリアンは、各地を視察するとともに、坂倉準三のほかにも、「民藝」運動の推進者柳宗悦、陶芸作家河井寛次郎、浜田庄司、版画家棟方志功ら、当時、日本の生活に根ざした家具や食器の伝統的な意匠を同時代の感覚で再生させようとしていた人物を中心に多くの人々と交友を築いていった。

そして1941年にペリアンは、滞在中の成果を「選択・伝統・創造」展と題した展覧会にまとめ、滞在中に親交を結んだ日本の友人たちの協力を得て東京と大阪で発表した。そこで提示された彼女のデザインによる家具を始めとするさまざまな出品物は、伝統と近代を融合させたものとして、日本のデザイン界に強く深い示唆を投げかけた。それは、戦後のデザインの領域で鮮明な流れを作り出していき、いまなお絶えず更新されながら脈々と生きている。

戦後になって、幾度となく日本を訪れたペリアンは、1955年に東京で「芸術の綜合への提案―コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」を開催する。そこでは自らのデザインした椅子オンブルを発表し、その展示空間のデザインをしている。この展覧会もまた、日本のデザイン界に多大な刺激を与え、ペリアンの存在は、影響力を大きくしていった。

本展では、さまざまな側面をもつペリアンと日本の関係を見えやすいものとするために、1941年の「選択、伝統、創造」展と1955年の「コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」、そして生前最後に開催された1998年の「シャルロット・ペリアン 20世紀のパイオニア展」を日本での活動の集約点として取り上げ、さらに戦後にペリアンが日本に残したいくつかの仕事を加えて紹介する。その構想にしたがって、展覧会は以下の5部で構成される。

巡回予定: 広島市現代美術館 2012年1月21日(土)−3月11日(日)
目黒区美術館 2012年4月14日(土)-6月10日(日)

全文提供: 神奈川県立近代美術館


会期: 2011年10月22日(土)-2012年1月9日(月・祝)
会場: 神奈川県立近代美術館 鎌倉

最終更新 2011年 10月 22日
 

関連情報


| EN |