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柴田健治:絵画
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 1月 14日

copy right(c) Kenji SHIBATA / Courtesy of taguchi fine art, ltd.

柴田健治は1971年新潟県生まれで現在茨城県在住。1998年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。1997年のギャラリーQにおける初個展以来、東京を中心に数度の個展と、東京都現代美術館アニュアル2002「フィクション ? - 絵画が開く世界」展やカスヤの森現代美術館での「アテンプト」展(2007, O Jun氏 企画) をはじめとするグループ展で作品を発表。これまで着実に評価を積み上げてきました。 鏡面のように平滑な絵画
柴田は東京藝術大学在学中から一貫して、一見するとオーソドックスともいえるモノクロームの抽象絵画を制作してきました。それは微妙な色彩によって画面構成され、鏡面のように平滑で光沢のある表面を特徴としています。そうした絵画を実現するために試行錯誤のうえに彼が獲得した制作方法は、パネルに水張りしたアルシュ紙に油の吸収を抑えるためにニカワで下塗りし、それを支持体として限られた色数の油絵の具を流し込んで色を重ね、刷毛を用いてフラットな表面を構築するというものです。暗褐色や暗灰色、あるいは深緑色をたたえる茫漠とした画面には、ほのかに赤や青の色彩の気配が漂い、ときにある奥行きや光、風景のようなイメージ、イリュージョンを観る者にもたらします。静謐さをたたえた美しい作品は、高い完成度、緊張感をもって観る者を魅了します。 皮膜としての絵画
柴田の仕事は、色彩や形態、構成、筆跡やイリュージョンという、これまで絵画を成立させてきた要素や条件を極限まで抑制しながら、それでもなお絵画として成立しうる限界点を探ろうとするものです。彼は古典絵画にみられるような表面のフラットさにこだわり、ある深さで視線をはね返すような奥行きの感覚を生み出すべく刷毛を操作して絵の具を重ねます。それは絵画をその原初的な地平、すなわち薄い皮膜としての平面・二次元性へ還元しようという試みであるといえます。そして現代にこうした抽象絵画を描く行為の困難さに対する作家自身の自覚が、彼の作品に強度や緊張感を与えているのではないでしょうか。 今回の展示は柴田健治のタグチファインアートにおける初めての個展となります。これまで支持体としてきたアルシュ紙に換え、キャンバスを使用した作品が初めて発表されます。絵画の豊かさや新しい可能性を感じさせる柴田の新作をぜひご高覧下さい。 なお初日3月14日(土)17:00より作家を囲んでレセプションを開催致します。
※全文提供: タグチファインアート

最終更新 2009年 3月 14日
 

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