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セサミスペース:経験のコラージュ
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 6月 10日

《Bubble Buna (Beech)》2007, Lambda print, 380x257mm | 画像提供:fabre8710 | Copyright © sesamespace

セサミスペースは、写真新世紀2009で佳作を受賞(蜷川実花 選)、翌年にはToyota Art Competition -とよた美術展2010にも入選する実力派です。ギャラリーでの個展をはじめ、さまざまなグループ展、アートフェアにも多数参加。雑誌のアートワークも手掛けるなど活躍めざましい作家です。

デジタルコラージュの写真作品を中心に、アナログの平面・立体コラージュ作品、映像、ドローイング、インスタレーションにいたるまでその表現手法は幅広く、デザイナー(本名)としても東京TDC(2009・2011)に二度入選するなど、今後ますますその潜在能力の開花が期待されます。

東京初となる今回の個展では、「動物」「自分」をキーワードに、動物ポートレートシリーズの新作、コラージュ作品の新作をメインに、これまでの作品(羊、植物・情報などのシリーズ)も併せ、セサミスペースの近年の作品を俯瞰で眺められるような展示構成となる予定です。さらに、作品やポスターを再利用した新作ZINEもあわせて展示いたします。

展覧会タイトルにもありますように、自らの制作経験、人生経験などを、積み重ねるというよりは、制作手法の中心でもあるコラージュを行うことで、経験という概念のコラージュを提示するかのような展覧会となる模様です。

●セサミスペース作品の近年の流れがひと目でわかる、ぜひ押さえておきたい!!個展。

[動物ポートレート] ジャガー、シロクマ、ゴリラなど、動物園で人気の動物たちの、まるでブロマイドのような少し奇妙なポートレート写真は、作家本人の肖像でもあり、このシリーズのコンセプト「動物が人間になりたいという欲求を持ってしまった」というあらわれでもあります。

[いきものと情報] モチーフが動物から植物へとスライドし、それにまつわるさまざまな情報(自然界のおきてのようなもの)と私たちが日々暮らす社会の中の情報との比較に着目し制作されたのが、植物や森、作家本人が登場する「"いきもの"と情報」シリーズです。

[羊と自分] 被写体となる羊に作家本人の髪型がコラージュされたスタイリッシュだけどユーモラスな作品群。羊と作家が混ざり合うかのようなコラージュ写真は、モチーフの羊の想像力の産物とも作家自身の変身とも。先の動物ポートレートの延長にあるシリーズです。

[デジタルおよびアナログコラージュ] 自ら撮影したデジタル写真とカタログやマガジンからの引用によるデジタルコラージュや、折り紙やカタログなどの切り抜きを貼り合わせたアナログコラージュ、肉筆の文字、ドローイングなどさまざまなものをデジタル、アナログ問わずコラージュしています。

[「写真」の分解・作品性の拡大] 壁面に貼った黒ケント紙上に、さまざまな角度から光が当たるように、かたちや大小さまざまなミラーを床面に設置。またそれらと、作家本人がエアーテニスをする写真作品を併置し、まるで光のラリーをするかのようなインスタレーション作品に仕上げています。写真のハード面(カメラ)を分解、再構築したかのようなインスタレーションは、「写真」の作品性の拡大をめざすかのようです。

[時間のコラージュ(タイムパラドックスなど)] 作家自身の幼少の頃の写真を使った連作。親(第三者)が撮影した作家の子供の頃の写真を現在の作家(自分)が手を入れ合成し新しい子供の頃の写真をつくりあげています。ユーモアと洒落た感覚が垣間見えるタイムパラドックス的作品です。なお、このシリーズでは写真作品の限定エディションというシステムにも着目し、限定エディション3の各作品(ed.1~ed.3)をそれぞれ上下にまっ二つにカットし、スクランブルして組み合わせることで、異なるパーツによる限定エディションを再構成、提示しています。(たとえば、ed.1は、実際はed.2の上半分とed.3の下半分を組み合わせたものかもしれないということになります。)

さらに、これらの作品に加え、作品やポスターを再利用した新作ZINEもあわせて展示いたします。 デジタルとアナログによるコラージュの手法をベースにしたコンセプチュアルな作品を提示するセサミスペースの東京初個展、ご期待ください。

全文提供: fabre8710


会期: 2011年7月2日(土)-2011年8月27日(土)
会場: fabre8710
オープニングレセプション: 2011年7月2日(土)18:00 - 20:00

最終更新 2011年 7月 02日
 

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