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磯江毅=グスタボ・イソエ-マドリード・リアリズムの異才
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 6月 10日

《鰯》2007年 | 板,ジェッソ・鉛筆・水彩 | 41.0×53.0 | Copyright© Tsuyoshi Ishie | 画像提供:練馬区立美術館

磯江毅(1954-2007)は大阪に生まれ、大阪市立工芸高等学校を卒業後まもなく単身でスペインに渡り、30年余りの長きにわたる滞西の間に油彩による写実絵画を探求しました。

やがてアントニオ・ロペス・ガルシアに代表されるマドリード・リアリズムの俊英画家グスタボ・イソエとして認められ、国内外で高い評価を受けました。彼のリアリズム表現は、文字通り事物の細部まで深く入り込んで具象的に描ききるだけでなく、現実世界が内包する神秘的なものまで捉えようとしているような精神の深まりを感じさせます。その根底には生死をかかえこむ生きものへの深い洞察と諦観が見て取れるのです。2005年には広島市立大学芸術学部の教授に就任し、日本での活躍が期待されましたが、2007年惜しくも53歳で急逝。生涯をかけた絵による存在探求の試みは、絵画の高みを示すものとして、死後もなお輝きを発し続けています。

本展は、現代写実絵画に鮮烈な痕跡を残した磯江毅の没後初となる本格的な回顧展として、磯江の初期から絶作までの代表作約80点を一堂に集め、彼の芸術の軌跡をたどるとともに、その稀有な画業を追想するものです。(終了後、奈良県立美術館へ巡回します。)

磯江毅(いそえ・つよし)
1954    9月17日大阪に生まれる。
1973    大阪市立工芸高等学校図案科卒業。
1974    モスクワを経てスペインに渡り、以後マドリードに定住。
1974-76 デッサン研究所「ペーニャ」にてスペインアカデミズムのデッサン、王立美術学校にて人体デッサンを学ぶ
1975-77 プラド美術館にて、模写による15世紀フランドル派絵画の技法研究。
1978 この年以降、いろいろな展覧会に作品を出品しはじめ、多くの賞を受賞。シルクロ・ドス画廊にて初の個展。
1983 この年以降、マドリード・ヘレル画廊、レビ画廊、サラゴサ・ハロン画廊、東京・彩鳳堂画廊などで個展。
1991    「スペイン美術はいま-マドリード・リアリズムの輝き」(高島屋〈各都市〉朝日新聞社主催)でマドリード・リアリズムの画家として紹介される。
1992    「美しすぎる嘘・現代リアリズム展」(三越)にスペイン作家として参加(‘97も)。
1996    「両洋の眼」展に出品(‘01、‘03、‘08も)。
個展(東京・彩鳳堂画廊)。冨田賞受賞。
1997 冨田賞受賞記念個展(東京・高島屋)
1998以降  東京藝術大学美術学部非常勤講師。
2000以降  広島市立大学芸術学部非常勤講師(2005年以降、教授)。
2002    「写実・レアリスム絵画の現在」展に参加(奈良県立美術館)。
第13回タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞受賞。
2003    「存在の美学」展に参加(高島屋〈各都市〉、‘05、‘07も)
2004    個展(東京・彩鳳堂画廊、大阪・高島屋)。
2007 9月23日逝去。遺作追悼展(東京・彩鳳堂画廊)。
2008 第2回遺作追悼展(東京・彩鳳堂画廊)。
2009    「存在の神秘・磯江毅遺作展」(東京美術倶楽部〈東美アートフェア〉)
2010    「スペイン・リアリズムの密度 磯江毅展」(平塚市美術館)

全文提供: 練馬区立美術館


会期: 2011年7月12日(火)-2011年10月2日(日)
会場: 練馬区立美術館

最終更新 2011年 7月 12日
 

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