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吉野辰海 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 6月 09日

左「SCREW 象少女(立)」FRP・油彩 315×115×166mm 2011 | 右「SCREW 象少女(座)」FRP・油彩 185×125×110mm 2011 | Copyright© Tatsumi Yoshino | 画像提供:ギャラリー58

吉野辰海は1940年宮城県生まれ。1959年武蔵野美術学校油絵科入学。1960年、前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」のメンバーとして活動。1980年代より怪異にデフォルメされた「犬」をモチーフに、“全ての物質に内包する螺旋運動(=screw)”を具現化した立体作品を発表。

このたびの個展では、昨年ギャラリー58で開催した「前衛★R70展」に出品した「象少女」シリーズをさらに展開した、最新作の立体作品と、ドローイングをあわせて発表いたします。

犬と、象と、痩せた未成熟の少女(12歳位の少女から女へ変化する頃) が一体化した異形の造形物は、怪奇でエロティックでユーモラス、そして聖性を漂わせ(象-仏教 女性-母)、「生」「性」「聖」が渾然一体となった作品です。

70歳を過ぎ、年齢とは裏腹に強靭さと過激さを増してゆく吉野辰海の最新作が揃います。

作家コメント
宙吊り状態のこの地球の構造、
プレートの運動で生命体や人為的構造物に大災害をもたらした2011年。
寄る辺ない宙吊りの象少女はどのような形象に変わり、時と寄り添っていくのか。

吉野 辰海(YOSHINO Tatsumi)
1940年 宮城県生まれ
1960年 ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズに参加
1961年 武蔵野美術学校油絵科中退

主な個展
1964年 「MONO-KUISHOW」 内科画廊(東京)
1966、68年 「INTERIOR」 村松画廊(東京)
1986、87、88年 「Screw-らせん」 画廊春秋(東京)
1989年 「水犬:吉野辰海」 P3オルタナティブ・ミュゼアム(東京)
1990、91、93、95、97、99、02、05、07、09年 東邦画廊(東京)
1992年 佐野画廊および佐野埠頭ギャラリー(香川)
1994年 「吉野辰海展(1994の犬)」 ギャラリー新居(大阪)
1999年 中京大学アートギャラリー C・スクエア(愛知)
2001年 ギャラリーとわーる(福岡)
2007年 「吉野辰海展 ダンス-発芽するラセン犬、立ち上がる植物神経」 ギャラリーエム(愛知)
2009年 ギャラリー58(東京)
2011年 E&Cギャラリー(福井)

主なグループ展
1960年 「第2回ネオ・ダダ」 吉村アトリエ(東京)/「第3回ネオ・ダダ」 日比谷画廊(東京)
1961、62、63年 「読売アンデパンダン展」 東京都美術館(東京)
1969年 「第9回現代日本美術展:現代美術のフロンティア」 東京都美術館(東京)
1971年 「第10回現代日本美術展:人間と自然」 東京都美術館(東京)
1987年 「オブジェ-逸脱する物質展」 つかしんホール(兵庫)
1990年 「現代彫刻の歩み-Ⅲ」 神奈川県民ホールギャラリー(神奈川)
1991年 「芸術と日常:反芸術/汎芸術」 大阪国立国際美術館(大阪)
1993年 「異形のFigure 東北の三人」展 宮城県美術館(宮城)
1996、05年 「現代美術の磁場TSUKUBA」 つくば美術館(茨城)
1997年 「日本の夏1960-64」 水戸芸術館(茨城)
1998年 「ネオ・ダダJAPAN 1958-1998 -磯崎新とホワイトハウスの面々-」 大分アートプラザ(大分)
2002年 「熊本市現代美術館開館記念展:アティチュード2002」 熊本市現代美術館(熊本)
2003年 「アートみやぎ2003」 宮城県美術館(宮城)
2004年 「4人の作家によるArt≒prophecy・予言(する力)池田龍雄・風倉匠・田部光子・吉野辰海」 ギャラリーとわーる(福岡)
2005年 「第21回現代彫刻展」 宇部市常盤公園(山口)
2006年 「縄文と現代~二つの時代をつなぐ 『かたち』 と 『こころ』 」 青森県立美術館(青森)
2007年 「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展 森美術館(東京)
2007年 「風倉匠・田中信太郎・吉野辰海 ドローイング展」 ギャラリー58(東京)
2009年 「Art Program OME 2009 7th 『空間の身振り』 展」 青梅市(東京)
2010年 「前衛★R70展 -70歳未満出品不可・完全最新作-」 ギャラリー58(東京)

パブリック・コレクション
宮城県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館、大阪国立国際美術館、徳島県立近代美術館、熊本市現代美術館、大分市美術館、佐久市美術館、宇部市、大宮市、他

全文提供: ギャラリー58


会期: 2011年6月20日(月)-2011年7月2日(土)
会場: ギャラリー58

最終更新 2011年 6月 20日
 

編集部ノート    執筆:田中 みずき


画像提供:ギャラリー58

立体8点とドローイング15点。60年代から活動し、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズに参加していた作家の個展である。

中でも、立体作品が鮮烈だ。身体の華奢な、少女のような裸体像の頭部にあるのは、左右半分ずつを犬と象の顔で分けた、ショッキングピンクの巨大な頭部。犬の顔の背後に象の顔がついており、少し首を曲げている。身体の向きと合わせて考えると、正面がどちらか迷ってしまうだろう。まじまじと見入ってしまう、舌を出したり俯いたりする犬と、目を半開きにしたような象の頭部。これが白い肌の女性裸体の上にある様は、禍々しくエロティックだ。ドローイングも、立体に繋がる犬の顔と人間の女性の身体の像。長年同じモチーフを手掛けてきた作家の、同モチーフながらパワフルな新作を味わえるのが楽しい。


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