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尾形一郎・尾形優:ナミビア-室内の砂丘
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 5月 25日

画像提供:ときの忘れもの | Copyright© Yu OGATA & Ichiro OGATA

20年に亘って大型カメラを携え、世界の辺境に残された建築物を撮りつづけている尾形一郎と尾形優。昨年好評を博したシリーズ〈ウルトラ・バロック〉に引き続き、今回は、アフリカ・ナミビアの砂漠に残された100年前の家々の痕跡を撮影したシリーズ〈室内の砂丘〉を、銀座と南青山の二会場でご覧いただきます。

銀座・ギャラリーせいほうでは大作7点(各840,000円)、南青山・ときの忘れものでは20点組の初のポートフォリオ(セット1,050,000円、単品:各84,000円)を出品します(二つの会場の営業時間と休廊日が異なりますので、ご注意ください)。

会場1 :ギャラリーせいほう
東京都中央区銀座8-10-7 電話03-3573-2468
11:00-18:30 日曜・祭日休廊

会場2 :ときの忘れもの
東京都港区南青山3-3-3 青山Cube101 電話03-3470-2631
12:00-19:00  会期中無休

※初日5月30日(月)17時~19時まで、銀座のギャラリーせいほうでオープニングを開催します。是非お越しください。

「ナミビア:室内の砂丘」 尾形一郎 尾形優
私たちの目的は、建築という方法で、どこまで人の心の深層や無意識の領域が表現できるかということだ。私たちは建築家なので、建築そのものをつくることもできるが、問題をよりはっきりさせるために、既存建築を撮影することによって、2次元の建築を建てる方法を模索してきた。撮影の対象には、特殊な状況下で生まれた過剰建築が、時代に取り残された姿を選んでいる。過去にも、地球規模での文明の変革によって辺境の地に富がもたらされ、建設ラッシュが起こった。こうした地域での建築は、民衆の熱狂的な欲望からつくられるので作為が無く、人間の心の深層が投影されやすい。アカデミックな建築様式にとらわれない辺境の人々は、自分たちを取り巻く文化をより過剰に表現することに邁進するからだ。私たちはそれらの建築群が時代に取り残された姿を発見し、2次元のシュールな建築に圧縮して、無意識の領域を可視化したいのだ。

ナミビアで撮影した今回のシリーズ、「室内の砂丘」は、ダイアモンドラッシュに湧いたアフリカの砂漠に、100年前のドイツ人が残した家々の痕跡だ。私たちが被写体に選んだポイントには、この家々がどれも当時最先端だったゼツェッシオン様式の影響を受けているということがある。ゼツェッシオンは19世紀末にウィーンやドイツにおいて、フロイトの影響を受けた先進的な芸術家たちが、人間の心の内面を表現しようと追求して生まれたデザインだ。しかしヨーロッパから遠く離れたこの地において、つかの間の繁栄の後で町が放棄されると、優雅なゼツェッシオン風の室内に砂漠の景色が広がった。毎日吹きつける砂嵐が、室内に堆積した砂山に美しい風紋を描いている。私たちは、こうした箱庭的な構造に日本の禅庭を連想し、心の内面にある宇宙を見つめるように撮影した。

■尾形一郎 ICHIRO OGATA ONO
1985年 早稲田大学院理工学研究科建築計画修了
1983年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1960年 京都生まれ

■尾形優 Yu OGATA
1987年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1964年 東京生まれ

■公式サイト: http://yoioo.com/index.html

■主な写真集・著書
2009年 『HOUSE』、フォイル
「ホセ・グァダルーペ・ポサダ」共著、世田谷美術館
2001年 「極彩色メキシコ巡礼」、晶文社
2000年 「MEXICO:BAROQUE」、アスペクト
「MEXICO:HOTELS」、アスペクト
「MEXICO:ICONS」、共著、アスペクト
「メキシコの奇っ怪な宗教空間に」ワールドミステリーツアー13、共著、同朋社
2001年 「雅叙園と日の丸軒」日本怪奇幻想紀行6、共著、同朋社
1997年 「ウルトラバロック写真展」、展覧会カタログ、141
「ゴルキーゴンザレス陶芸展」、展覧会カタログ、A-fit Park
1996年 「DIVINE EXCESS」、Chronicle Books
1995年 「ウルトラバロック」、新潮社

主な建築作品
2007年 住宅A、東京
2006年 フォトハウス、東京
2005年 住宅K、東京
2003年 住宅N、東京
1998年 タイルの家(自邸)、東京

個展
2011年 「ナミビア:室内の砂丘」、ときの忘れもの、東京
「ナミビア:室内の砂丘」、ギャラリーせいほう、東京
2010年 「ウルトラバロック」、ときの忘れもの、東京
2009年 「HOUSE」、FOILギャラリー、東京
2002年 「ウルトラバロック」、伊吹の見える美術館、滋賀
2001年 「ウルトラバロック」、エプサイト、東京
「ウルトラバロック」、新横浜プリンスホテル、神奈川
「ウルトラバロック」、アクシスギャラリー、東京
1998年 「メキシコ文化遺産展」、松任市役所、石川
1997年 「ウルトラバロック」、タワーギャラリー、神奈川
「ウルトラバロック」、A-Fit Park、東京
「ウルトラバロック」、三菱地所アルティアム、福岡
「ウルトラバロック」、141、宮城
1995年 「ウルトラバロック」、ガレリアキマイラ、東京
1993年 「ラテンアメリカ」、ギャラリー青山、東京
1992年 「バロックのラテンアメリカ」、ギャラリー青山、東京

※全文提供: ときの忘れもの


会期: 2011年5月30日(月)-2011年6月11日(土)
会場: ときの忘れもの/ギャラリーせいほう

最終更新 2011年 5月 30日
 

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