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弦屋光溪:役者絵木版画展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 5月 25日

「道成寺」より | 七世尾上菊五郎の清姫の霊と十世市川海老蔵の大館左馬五郎 | 1981年作 | 限定36 | 画像提供:Bunkamuraギャラリー

よみがえる名優たち、感動の名場面

江戸時代から歌舞伎と木版浮世絵は、密接なつながりを持ち共に発展してきました。そして歌舞伎はその伝統を世界へと広げ、役者たちもその活躍の場を広げています。しかしながら、かつて写楽をはじめ、豊国や国政といった浮世絵師たちが躍動感あふれる役者たちの姿を描いていた時代は、記録というメディアが発達を遂げる現代において、身近に楽しめるものではなくなってしまいました。

弦屋光溪は、そんな時代に写楽を彷彿とさせる存在感のある役者絵を発表し、イギリスの大英博物館の展覧会に度々作品を出品するなど、国内外から高い評価を得ている木版画家です。それまでサラリーマン生活を送っていた光溪は1978年、生まれて初めて観た歌舞伎に衝撃を受け、木版画家に転身します。それは、祖父も父も画家だったという家庭に育った光溪の中の画家の血が、彼を動かした瞬間だったのかもしれません。

絵師、彫り師、摺り師と分業制だった写楽の時代とは違い、光溪はその全工程をすべてひとりでこなします。だからこそ、先達の教えを受け継ぎながらも、独創性が生み出され、役者の息づかいや芸質までも写し出す事ができたのです。そしてこの役者絵シリーズは200点にも及び、数々の名優と名場面が鮮やかに残されています。

本展では、猫をモチーフにした新作木版画「猫の助六」・「猫の暫」の2点と惜しくも2000年に制作を終えた役者絵シリーズの貴重な作品を展覧販売致します。写真や映像では伝えきれない、光溪の描く生き生きとした役者たちの一瞬のクライマックスをご覧下さい。

全文提供: Bunkamuraギャラリー


会期: 2011年6月11日(土)-2011年6月19日(日)
会場: Bunkamuraギャラリー

最終更新 2011年 6月 11日
 

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