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中埜幹夫 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 5月 23日

画像提供:Oギャラリーeyes
Copyright© Mikio Nakano / O Gallery eyes

作家コメント
『作家はその作品を通じてはじめて自分の位置を知り、自分をかたちにする。作品より以前に、作家は自分が何ものであるか知らないばかりか、何ものでもない。作家は作品のあとにはじめて存在し始めるのである。』
-モーリス・ブランショ

僕の中の分からない(解釈に誘うが答えのないものがある)について
-僕ではない「何か」が僕をつくりだすー
みなさん、こんにちは、中埜です。今日は『なぜ作品をつくるのか』ということについてお話します。コンセプトとよく耳にしたり、聞いたりするが僕にはよく分からないのです。僕にとってはコンセプトが制作の動機になっているとは感じられないのです。当たり前ですね。コンセプトと動機は違うものですから。僕自身よく分からないものが僕の中に存在し、その欠落の湧き水(地下水脈)みたいなものが制作の動機に向かわせているように感じるのです。だから、自分がなぜこんなものを創ったのか、その起源も生成も上手く言えないのです。
何か伝えたいことがあるから制作しているように思われるが、本当でしょうか。制作することにより何かが出来上がり、僕自身、自分が考えていることが少し分かったような気がし、あなたに何かが残る。あなたに残っていることは、僕のコンセプトでしょうか。もしコンセプト(らしきもの)なら、それは開かれたものだが閉じられたもののような気が僕にはするのです。(クリアーカット過ぎて釈然としませんし、話しがキレイすぎると胡散臭く感じるからです。まったく分からないものは興味が湧く手がかりもないし、問題自体立ち上がっても来ないと思うのです。難儀ですね。)
僕の作品が過不足ない状態ならそうなのかもしれませんが、作品には僕が言う気がなくても紛れ込んでくるものが存在します。この存在こそが作品を作品たらしめているものなんでしょう。そしてこの存在が次の制作に繋がり、僕の『何か-無意味な細部(異物)』が、あなたに何かを残せたなら幸せだと思うのです。

二百年後のみなさんと二百年前のみなさんへ
『私は人間として活動しているのであるから社会的である。・・・したがって、私が自分からなにかをつくるにしても、それを私は社会のためにつくるのであり、しかも、私がひとりの社会的な存在であることを意識しながらつくるのである。』 
―カール・マルクス

『人は基本的に二人のために書くのだと思う。まず、自分自身のために、それを完璧なものに、完璧でなくとも素晴らしいものにしようとして、書く。そして、愛する人のために、その人が読み書きできようができまいが、生きていようが死んでいようが、書く。』
―アーネスト・ヘミングウェイ

いい言葉だと思う。この言葉に付け足すなら、いまだ生きていない愛するものたちにも書くという言葉だろう。

中埜幹夫
1971年、大阪府生まれ。
1995年、大阪商業大学商経学部貿易学科を卒業。
2000年、大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業。
2001年、大阪芸術大学芸術学部美術学科研究生修了。
2001年、日下画廊(大阪)にて初個展「National Holiday」を開催。同年、ギャラリーかのこ(大阪)、ギャラリーDEN(大阪)、アートスペース虹(京都)で個展を開催。以降、海岸通ギャラリーCASO(大阪)、gallery TWINSPACE(大阪)、studio J(大阪)にて個展を開催。
主なグループ展として、1999年、日中交流展(大阪芸術大学情報センター・大阪)。2000年、Live(sweet・大阪)、基底の肖像(Oギャラリーeyes 大阪)、Live(ギャラリー小さい芽・兵庫)、True(グランドギャラリー・大阪)。2001年、Vertical and Horizontal(日下画廊・大阪)。2002年、Preopen one night Exhibition” (gallery TWINSPACE・大阪)、Grand Opening EXHIBITION”Making Views”(gallery TWINSPACE・大阪)。2003年、絵画の証(海岸通りギャラリーCASO・大阪) 、NEW GENERATION3(海岸通りギャラリーCASO・大阪) 、タイガース優勝記念展(studio BIG ART・横浜)、2005年、La Voss展(京都市美術館別館・京都)。2007年、表現者決起集会(名村造船所跡地・大阪)等に出品。

※全文提供: Oギャラリーeyes


会期: 2011年5月23日(月)-2011年5月28日(土)
会場: Oギャラリーeyes

最終更新 2011年 5月 23日
 

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