松下徹:Kelen/ケレン |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 5月 07日 |
Kelen… 古くなった塗装面をはがす行為/装飾過多なこと 松下徹は車やキャンバスの表面に、化学塗装を用い、これの配合によって、塗装面にひび割れを起こす作品を制作しています。 自分の意図や、作意性を消しながら、その現象の結果として絵を描くことを目的としているのです。これは、外の光を取り込みながら絵柄が変化する金屏風であったり、溶薬の配合によって、様々な表情を生み出した井戸茶碗であったり、自然現象を尊う、日本古来の表現の方法論に習っています。 同時に松下は、ストリートアートに非常に通じており、松下の絵画作品の多くは、現代のストリートカルチャーに関わるイメージを描いています。これは、現代の都市空間に生きることにおいて、生きる規範として、ストリートアートの精神性を作品に表そうと考えているからです。また、graffitiをスプレー缶で描くということ、またはステンシル技法を用いるということにおいても、ストリートアートが表現に根強く影響しています。 方法や様式から、表現の思想において、現代と過去を繋げ、変化し続ける都市空間の中で、古来より変わらない私達として生きることの指針を表すことを試みています。 是非ともご高覧頂けますと幸いです。 松下 徹 ※全文提供: island MEDIUM 会期: 2011年5月21日(土)-2011年6月16日(日) |
最終更新 2011年 5月 21日 |
黒い地に、細い線で綿密に描きこまれる筆致や、電気の走るような揺らぎを持った塗装面などが重なっている、複雑な画面が興味深い。塗装の加工による予期せぬ流れに托すような画面はデカルコマニーを髣髴とさせるが、現代の鑑賞者にどのように受け止められるか、賭けとも言える手法だろう。ほかに、明るい色彩でスニーカーの足跡を配したような作品もあり、作家の多面的な嗜好が読み取れる。