| EN |

津田直 展:SMOKE LINE-風の河を辿って
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2008年 11月 19日

copyright(c) TSUDA Nao

copyright(c) TSUDA Nao

資生堂ギャラリーでは、2008年10月28日(火)から12月21日(日)まで、新たな風景表現の潮流を切り開く写真家として近年注目を集めている津田直の個展を開催します。本展では、津田が中国、モンゴル、モロッコを旅して制作した新作「SMOKE LINE-風の河を辿って」をご紹介します。津田直は1976 年生まれ。大阪芸術大学写真学科研究課程修了後、2001年より大阪、東京を中心に活動しています。本年はニューヨークで個展開催、11月には「Paris Photo」に出品が予定されているなど海外にも活躍の場を広げている、写真家です。津田は、これまで、各地を旅し自らを風景に溶け込ませる独特の視点で、私たちを囲む風景の拡がりや、時間の流れの大きな連続性など、写真では体験できないものを写しとることを試みてきました。津田のまなざしを通して提示された風景には、深い奥行と、透明な空気感、静かながら観るものを作品の奥へと惹きつける鋭さと強さがあります。

copy right(c) TSUDA Nao

copy right(c) TSUDA Nao

本展では、3年の歳月をかけて制作した新作「SMOKE LINE-風の河を辿って」を資生堂ギャラリーならではのスケール感で展観します。津田が新作に臨むにあたり着目したのは「風」。始まりも終わりも無く、全ての領域を留まることなく移動し続ける「風」を、私たちの世界を帯状につなぎ保つ存在のひとつと捉え、植物のゆらぎなどを介さずに「風」そのものを視ることで、世界の普遍的な構造を写真で表現することに挑戦しました。 風に導かれて津田が辿り着いたのは、中国、モンゴル、モロッコ。この3 地域で風を最も熟知する民、遊牧民と時を共にし、制作をしました。 大展示場では、3 地域で撮影した、砂漠、湖、稜線、河、雲海、屋根、等異なる風景を混在させ、図の集積から空間や時間の無限の拡がりを感じさせる絵巻物のイメージで構成。一見隔たりのある地域同士が、自然界のスケールでは同一のものとして線を結び、世界をつなぎ保つ透明の帯 「SMOKE LINE」が浮かびあがります。

copy right(c) TSUDA Nao

copy right(c) TSUDA Nao

小展示室では、津田が風に導かれて出会った人々と過ごした時間を通して視えてきた「個」の存在に光をあてます。写真や詩を混在させて展示し、村、家族などの単位での人の営みを表現。写真家津田直の作品に初めて「人物」が登場するとともに、写真を活版印刷で仕上げるという新たな表現方法にも挑戦します。 大小展示室を通して、私たちを囲む「世界」のダイナミズムと「人」の営みとの関りが視えてきます。千年単位のスケールでランドスケープと向き合い、独自の風景論を唱える写真家津田直の、新たな世界にどうぞご期待ください。

全文提供: 資生堂ギャラリー

最終更新 2008年 10月 28日
 

関連情報


| EN |