淺井裕介は1981年に東京に生まれ、20代始めより横浜を中心に活動を開始し、その後国内外の様々な展覧会に参加、近年では全国各地で開催されるアートプロジェクトに招待されるなど、今最も注目を集める若手作家の一人です。

代表作である「マスキングプラント」と称したマスキングテープと黒マジックを使った壁面への作画や、色とりどりの泥を絵の具のように用いる「泥絵」など、これまで場所を選ばないダイナミックな表現を得意としてきました。

淺井は、制作する「現場」の環境や状況と常に対話を重ねながら、また描き続ける疲労から来る肉体的な変化をも取り入れながら作品を作りあげていきます。制作現場と自らの肉体との対話を続けながら進んでいく淺井の制作の様子は、その場に秘められていた見えない存在を浮かび上がらせる作業のようでもあります。

淺井の手から生み出された、部屋を覆い尽くす多彩な泥に目を凝らせば、描かれている大小の動物、多様な植物、そして人間達が、皆対等に生命を謳歌しながら優しく語りかけてくるかのようです。また、淺井が黙々と育て上げるマスキングプラントは、壁を飛び出し見る者の心にまで伸び、そこでわき上がる感情に絡まりながら我々を魅了し続けるのです。淺井の休まることのない二つの手から生み出される作品群は、見る者にそっと語りかけながら、我々がその作品世界の一部となることを許してくれるのです。

Ongoingでは、2008年の春以来ぶりとなる「草の実」と名付けられた淺井裕介の個展。今回は、本格的な発表としては初となる小麦粉による新シリーズが登場します。淺井ワールドを良く知る人も始めての人も、是非この機会にじっくりとご覧いただければと思います。

■ 5月15日 (日) 13:00〜　Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーと共同制作お好きなケーキとお飲物がついてきます。
料金:1500円 (ケーキとドリンク付き、先着30名様　※入場料含む)

※全文提供：　Art Center Ongoing

会期：　2011年4月29日（金・祝）－2011年5月15日（日）
会場：　Art Center Ongoing