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Multiple Worlds - 淺井裕介、泉啓司、西村知巳:
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2008年 12月 28日

淺井裕介《泥絵・誰のためのお客さん、さて君は?》2008年 インドネシア ジョグヤ・ナショナルミュージアム 現地で採取した4種類の土と水、撮影:細川葉子 copy right(c) 2008 ARATANIURANO

泉啓司《円盤》2008年、h.67 w.30 d.17cm wood, plastic, paint、撮影:渡辺郁弘 copy right(c) 2008 ARATANIURANO

西村知巳《松前200602》、Cプリント copy right(c) 2008 ARATANIURANO

ARATANIURANOでは、来る11月15日より、2009年1月31日まで淺井裕介、泉啓司、西村知巳の若手アーティスト3人によるグループ展「Multiple Worlds - 淺井裕介、泉啓司、西村知巳」を開催いたします。

淺井裕介、泉啓司、西村知巳は、絵、彫刻、写真と各々違う表現活動を行っています。しかしながら彼らに共通するのは、既成の芸術表現に目を向けるのではなく、表現に対して自由に対峙し制作を行っているところといえるでしょう。そのような多様性と拡がりをもった期待ある美術表現を提示するべくMultiple Worlds(=多重世界)と称し、個性ある作家たちを一同に紹介いたします。

淺井裕介は、1981年生まれ。マスキングテープや水、石、埃、ロープ、土など身近なものを用いながら、室内外の壁面や床、家具、衣類、道路、廃墟に絵を描いています。テープとマジックを使って、植物のように増殖して描く終わりのない絵画「Masking Plant」や、その土地の土を使って壁や床、天井いっぱいに描く「泥絵シリーズ」など、植物、動物、人間など、自身から生まれ出る根源的なモチーフを使いダイナミックに描き続けています。このように身近な素材で描いていくことで、無機質な空間や当たり前に見えていた場所が、束縛のない開放された場として変容していくのです。それは淺井の制限を持たない芸術表現に対する姿勢が見る者を自由で心地よい世界に導いていくからなのでしょう。今回は会期前半を日々描き溜めているドローイングの展示、後半(12月中旬)からは滞在制作を行い、室内外に淺井スタイルの壁画を製作します。今春、インドネシアで開催された展覧会、「Japanese Artists Meet Indonesia アジアへ発信!日本の現代美術 インドネシア」では、美術館の室内全体を泥絵で描き、見るものを圧倒させました。また現在赤坂界隈で10月13日まで開催中の「Akasaka Art Flower 08」では旧赤坂小学校会場にて赤坂で掘った土を用いた巨大な「泥絵」や「Masking Plant」を発表しています。

泉啓司は、1973年生まれ。空想的で不可思議な人間を、木彫刻で制作しています。火星人と人間が組み合わさったような男性、数多くの風船が積み上げられた帽子を被って宙に浮かんでいる女性など、SF的な空想ともいえるユニークな発想から生まれた、可笑しさのある人物像を発表しています。その空想は日常の視点からの発想であり、環境など現代の社会問題に直面する私たちには、進化してしまった人類の未来像とも思えてきます。また泉の彫刻作品の特徴として、制作過程で裸像を彫塑しその上から衣服を着せるなど見えない部分に対しても精巧に制作しています。この執着心のある彫塑へのこだわりが、さらに完成度の高い特異な彫刻として見るものを釘付けにします。

西村知巳は1978年生まれ。ポートレイト写真を中心に活動しています。それらポートレイトから想起した真実とも架空ともいえる被写体に近い視線で文章を執筆し、その散文詩的な才気あるテキストと写真とを並列に展示して発表しています。また同時に、映像作品を制作するなど幅広いメディアを使いながら表現の場を広げています。彼の写真に共通する静謐な光の中に存在するポートレイトのミステリアスな表情の奥に秘められた抒情性は、強い印象を与え我々の記憶にとどめます。また写真と鋭敏なテキストとが連鎖することで、その写真の内面を西村の作為ある言葉によって、より現実的なストーリーとして見るものに心象させていきます。それは、写真メディアでありながら映像的な時間軸を創り出しています。

本展覧会は、この3名による作家の新作を展示いたします。また淺井裕介の滞在制作の完成予定に併せ、12月20日にレセプションを兼ね、京都のボブ・ディわれる新世代のフォークシンガー、双葉双一のスペシャルライブイベントを予定しています。

※全文提供: ARATANIURANO

最終更新 2008年 11月 15日
 

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