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木下晋× 袴田京太朗:うつしみ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 4月 21日

左:木下晋《100 年の想い》 鉛筆、紙/2001/190×100/ 個人蔵
袴田京太朗《ハルガ》アクリル板/2009/ 写真提供: 府中市美術館
画像提供:MA2 Gallery

世代の違うアーティストのコラボレーション展の第一弾、木下晋と袴田京太朗の2人展。

様々な濃さの鉛筆を使い、モノクロームのグラデーションの精緻で細密な重なりで、数奇な人生を送ってきた人間を描く1947 年生まれの木下晋。

そして、カラフルなアクリル板を幾層にも重ねて形をつくり、異質な素材と組み合わせたり、基のモノの欠けてしまった部分に補完させて、近年では人の形の作品をつくる1963 年生まれの彫刻家、袴田京太朗。

モノクローム/カラー、生身/プロダクト、平面/立体、シリアス/ユーモア. . .。
肖像画/人型、線の重なりと/細い面の重なり、写生/複製. . .。
一見不思議な組み合わせの2人にうつるかもしれません。

でも、異質というあり方を深く受け入れてきた2人の作品から「存在とは?」「ホンモノとは?」そんな問いかけが聞こえてきそうです。この2人ならではの展覧会を是非ご高覧下さい。

木下晋(Susumu Kinoshita)
木下晋は、最後の瞽女と言われる小林ハルさんに出合ってから、濃密な人生を生き抜いてきた人間の像 を、その人の生きてきた時間を彫る様に、皺や髪の毛の1本までを克明に鉛筆で描いてきました。 盲 目だったり、病の為に五体満足ではなかったり、脳の働きが欠落していたり、どこか不足といえるもの がありながら逞しく生きてきた人をモデルにした木下の描く人間は、一種異様な形相をしながらも崇高 で美しく強烈な存在を放っています。「私はデスクマスクを描かない、なぜなら、私の中でそのモデルは 生きているから」 と木下は言います。またそれと平行して、1980 年から毎日欠かさず手帖にその日に あったことを記録した「ヒエログリフダイアリー」という作品があります。小さな小さな文字で書かれた 日記の内容は、目を凝らしてもすぐに読む事が困難ですが、その文字の層が木下の日常、人生の堆積と して確かに存在しています。今回は鉛筆画とこの「ヒエログリフダイアリー」の一部を展示致します。

袴田京太朗(Kyotaro Hakamata)
袴田京太朗は、プラスチックや木など様々な素材、机や電線やネットオークションで落とした熊の木彫 りなどの既製品、人と机、人と家などの身近で異質なモチーフを組み合わせるなどいわゆる「彫刻」にな りにくいものを自由な発想で咀嚼して作品にしてきました。  近年ではカラフルなアクリル板を色の線のように層に重ねて用い、少し奇形でありながらユーモアがあ る人の形をした立体を続けて制作しています。 漫画のフキダシのように目に見えない繋がりが形になっ てくっついていたり、リンゴの皮を剥いた時のように削られた部分から中身が露に見えるようになって いたり、作品は関係が連鎖して繋がり合い、深く削られて内容が希求されています。今展では、府中市 美術館で公開制作された女性像と机が一体になった「ハルガ」の人型の中身を取り出した作品、黒い頭部 を2つに分け、お互いの欠けた部分を補った「デイビッド-複製」の双子のかたわれ、木彫りの置物を切 断してアクリル板で補完した「ギター- 複製」と複製のシリーズを中心に展示される予定です。

※全文提供: MA2 Gallery


会期: 2011年6月4日(土)-2011年7月3日(日)
会場: MA2 Gallery

最終更新 2011年 6月 04日
 

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