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エルヴィン・ヴルム 展:"自我 - エス - 超自我"
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2008年 10月 17日

copy right(c) 2008 Erwin Wrum, Koyama Tomio Gallry

エルヴィン・ヴルムは、我々が抱く「彫刻」という概念をすっかり変えてしまう作家です。90年代から始められた代表的なシリーズ[One Minute Sculpture](1分彫刻)は、様々な被写体の人々、時には展覧会に足を運んだ鑑賞者自身さえもが、作家の指示に従って不自然なポーズをとり、文字通り一瞬だけの彫刻作品と化す作品です。 「基本的なステップは、まず永続的である、永遠であるという概念を捨ててしまうこと。彫刻は、ほんの数分、あるいは数秒の間でも続くことができるのだから。その時作品は、現在という段階へと迅速に運ばれていくんだ。」(Erwin Wurm “The artist who swallowed the world”Hatje Cantz刊より引用) 風船のように膨らんだ胴体の人間、四角い固まりと化した胴体にぴったりと衣服をまとった人間、あるいは人間の手足を持つ野菜。また、車や建築物が人間のように表情を持ち、むくむく膨らんだり溶け出したり、不思議なテクスチュアを帯びた作品もあります。一見奇矯にすら見える造型の数々は、もちろん誰にでもわかるようなあたたかなユーモアに満ちていますが、何もかもを彫刻として見立てることのできる作家の視線によって、解体され、再構築される、知的かつ冷静な作業の結果生まれたオブジェだとも言えます。 【この展覧会について】
「36パーツあるこれらの彫刻は、全て僕自身だよ。このインスタレーションは全て僕の自画像だ」とエルヴィンが語るのは、なんと大小様々なキュウリです。また本展では、代表的な彫刻作品の数々-じゃがいもがニットを着ていたり、はたまた女性の下着を身に着けていたり、人間の2本の足を生やしていたり-の他、エルヴィンが2週間日本に滞在して撮りおろした写真作品も展示致します。 日本では初の個展となる本展を、是非この機会にご高覧ください。 【作家プロフィール】
エルヴィン・ヴルムは1954年オーストリア生まれ。現在、ウィーンを拠点に制作活動を行っています。近年では「エルヴィン・ヴルム 頭を冷やせ」(MUMOK、ウィーン、2006年)、「エルヴィン・ヴルム」(ローマ現代美術館、2005年)など、数多くの展覧会を行っています。日本では2007年、森美術館「笑い展」に出展されました。彼の作品はグッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、ポンピドゥーセンター(パリ)、MUMOK(ウィーン)、ウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)、十和田市美術館を始め、数々の美術館に所蔵されています。 2008年10月中旬より、銀座 メゾンエルメスの店舗内でも、エルヴィンの作品が展示される予定です。
※全文提供: 小山登美夫ギャラリー

最終更新 2008年 10月 04日
 

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