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YAMAMOTO GENDAI FUTURE FEATURE volume 5:田中圭介 個展「青山」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2008年 10月 03日

Sketch of ‘Kaiten’ copy right(c) 2008 YAMAMOTO GENDAI

1976年生まれ、千葉県出身の田中圭介は東京芸術大学で彫刻を学び、主に木彫作品を制作しております。田中は10cm角の樟の柱、木材といういわば「木の死体」を彫り、新たな木の集合体である「再生する山」を制作します。 木彫の歴史は一説によれば6世紀、仏教伝来とともに始まったと言われております。 布の動きで風を、血管の隆起で人体の躍動を、顔の表情で悟りを、、、と様々な表現がされる木彫ですが、田中は「木」をそぎ落として「風景」を描くことでまったく新しい彫刻を制作しているといえます。 展覧会タイトルは「人間到る処青山有り」という漢詩からの引用で、山を墓として見ている感覚に共感し、つけられました。 田中の作品はアクリル絵具で柔らかに着彩されていることもあり、一見穏やかなものに見えます。アニメや漫画がそのまま立ち上がったような森の輪郭、大人から子供までファンの多い鉄道模型のような可愛らしさも持ちながら、それは牧歌的なものではなく、生命の集合体である風景を鳥瞰することで、生死の営みを捉えております。 今回ご紹介する約3m立方の大作は、わたしたちを、虫の鳴き声のする初夏の山へいざないます。わたしたちは山を見下ろし雲を見上げる格好となるため、神のような、死者の目線のような浮遊感を覚えます。また森からのぞく道に目をやると精霊の宿る森に入っていけるような神聖な気持ちになります。 田中の彫刻作品と対峙することは山彦が返ってくるかのごとく、さまざまな問いや思いが、自分に返ってくるようです。
※全文提供: 山本現代

最終更新 2008年 10月 04日
 

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