展覧会
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執筆: カロンズネット編集
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公開日: 2011年 3月 07日 |
石居麻耶(1978年千葉県生まれ)は「日々、心に残りゆくもの」をテーマに日常のシーンを切り取り、アクリル絵の具とペンを用いてボードの上に描いていきます。今展で石居麻耶が描くのは都会に浮かぶ夜景約15点。暗がりの中、窓ひとつひとつに垣間見える誰かの物語。石居はその向こうに想いを馳せ、光を集め、影とのコントラストの中緻密で暖かみのある景色を表現します。それは見落としてしまいがちな、日々の中にある小さな光。きっと忘れかけていた大切な想いを喚起させてくれることでしょう。
「星の還る街」 / 石居麻耶 今夜、空に星が見えなくても。
日々訪れ来る夜、街にまばゆいばかりに灯されている様々な明かり。 誰かのために、何かのために。
昨日あなたを照らしていた明かりが、 今日のあなたに続いているということを 考えたことはあるでしょうか。
夜の明かりに思うのは、安らぎとまごころと、帰るところと、 恐らくは、雑踏に紛れている旅人の行方。
深夜の闇の向こうでは、少なからず誰かしら傷ついていたような日々でさえ 朝を待たず行ったり来たりする高速の車をやさしく見守り、 まばたきを惜しむテールランプと薄れつつある横断歩道が、 十字路の街灯と手を取り合いながら 今日もアスファルトにさりげなく光跡を描いているのでした。
目に映るものだけが視界の全てではなく、 あるときは遥か彼方の地のことを、あるときは手の届かない場所のことをも、 そしてまたあるときは、遺された意志と紡がれた想いというものでさえも、 夜の街に浮かび上がる様々な明かりの上に見ていたりしたのです。
流れ星に託された願いが運ばれる頃、 八方ふさがりの闇を夜の明かりがゆるやかに溶かしてゆきます。
窓の向こうはとても静かで・・・
明日を思うことで、昨日という日を輝かせながら今日を生きてゆこうと思えたなら、 日常のとりとめの無い記憶の中から思い出というものがまたひとつ、 無数の明かりがきらめく街において、 新しい日々の道標となる希望の星になったと言えるのかもしれません。
ただ穏やかにそんなことを思うのです。
※全文提供: YOKOI FINE ART
会期: 2011年4月12日(火) -2011年4月26日(火) 会場: 西武池袋本店アート・ギャラリー
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最終更新 2011年 4月 12日 |