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下田真由美:Beginning = Afterimage
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 2月 16日

画像提供:Ohshima Fine Art
Copyright © Mayumi Shimoda

下田真由美の初個展。

下田真由美の創作について
未だに風景画というカテゴリが存在できるなら、これらの作品は、風景画であると、まず考えてみよう。
しかし、登場している動物や、植物や、建物や、船などはどれも同じように太い輪郭線(とあえて断言しておく)だけで描かれ、まるで対象物の「面」には全く関心が無いようなスケルトンでそこに存在する。普通ではあり得ない風景画である。
これらの創作は、究極に最低限の骨組みのみの表現で、それが下田真由美の色々なものの捉えかただと気が付くのだ。

こんな話は関連しないだろうか。
人間は、物を見るときに、時間差で部分部分でしか“見えて”おらず、その一部分毎の断片を繋ぎ合わせて一つのものと認識している。上や、横や、斜めから見たものを、記憶の中の情報と瞬時に照合して一つのものに統合させている。
そして、みんなの共通認識の集積が、‘その形’を成立させている、という社会性の意味も帯びるてくるのだと思われる。

さて、立体物を投影して出来る従来の『絵画』は、三次元のものを二次元の画面に無理やり描きこんで、三次元のものがそこに‘在る’とか‘居る’という暗黙の約束で観賞するのである。
ということを、下田真由美は最初から明るく軽く破棄している。奥行きが無くて、透けていて、ごく平面的で、輪郭のみのミニマムな構成を追求している。
この件は、いわゆるキュビズムのことでは勿論ない。

そこで、下田真由美のこの創作はそれぞれ、記号≒アイコンなのでは、と思い当たる。
シンプルに分かり易い方向に収斂していくアイコンはまさに下田の作品に現れるモチーフそのものではないか。
これらの作品は、下田真由美が感受し、伝達したい世界なのだ。時代と共に日々進化する、まさに現代的なアイコンを風景画に落とし込み、彩りの配色による印象そのままに、メルヘンチックに、ポップに、踊るように、今を駆け抜けていく。

※全文提供: Ohshima Fine Art


会期: 2011年2月19日(土)-2011年3月12日(土)
会場: Ohshima Fine Art
オープニング・レセプション: 2011年2月19日(土)18:00 - 20:30

最終更新 2011年 2月 19日
 

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