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青山大輔 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 1月 18日

《緩衝、浅瀬にて ㈵》2010年
1455×1455mm|素材: 油彩、キャンバス
画像提供:藍画廊|copy right(c) Daisuke Aoyama

たとえば、絵具が偶然醸し出す色の滲みや、ある色と別のある色が混色されたときの抑揚のある状態や、筆やナイフで描かれたときのマチエールなど、あらゆる偶発性が絵画の表現となり、廃墟の壁面のようなフラットで浅い空間や、ある種の茫漠な浮遊感をともなったイメージをキャンバスに定着させるとしよう。それらの漠然としていて曖昧でつかみどころのないイメージであったとしても、そこには何がしかの対象が潜んでいる。また、ある壁のしみが人の顔に見えたり動物に見えたりするのも、我々が対象を追い求めているからなのだが、そこには集中力のような、ある力の集約を必要とする。そして、実際そのような力の集約とは、対象をその対象として恣意的に見るためのコスト(経費)なのではないだろうか。(わたしはこの展示のタイトルを《Object》と名付けたが、もうひとつ候補としてコストスという言葉を挙げた。それは古代ギリシャ語で火にくべられたという意味で、コストの語源にもなっている。)
わたしは、自身の対象への視線の集約から目が醒め、あるいは疲労困憊となり、対象を変質、解体へと向かわせるだろう。

-青山大輔

※全文提供: 藍画廊


会期: 2011年2月7日(月)-2011年2月12日(土)
会場: 藍画廊

最終更新 2011年 2月 07日
 

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